2021年02月27日

第二のトランプが核兵器を発射したら?

 military.comによれば、約3ダースの下院民主党議員は、一人の人物がこの世を終わらせる軍事力をもつべきでないといって、ジョー・バイデン大統領(PresidentJoeBiden)に核兵器の発射を命令する権限を放棄するよう要請しました。

 書簡によれば「この権限を一人の人物に与えることは本物のリスクを伴います。過去の大統領は他国を核兵器で攻撃すると脅したり、大統領の判断についてそのほかの当局者に懸念を表明させた振る舞いを示しました」。書簡はカリフォルニア州の下院議員、ジミー・パネッタ(Reps.JimmyPanetta)とテッド・リュー(Reps.TedLieu)が筆頭に立ちました。

 書簡は元大統領ドナルド・トランプ(DonaldTrump)に言及しませんが、民主党議員は大統領執務室頻繁にある期間、彼の精神状態と平静さを疑問視しました。トランプはしばしば彼が自由にできる巨大な力を無視して、ある時は、彼の核発射ボタンは北朝鮮の指導者、金正恩(KimJongUn)よりも「さらに大きい」「さらに強力」といい、しばしば核兵器を軽視して公にそれらを使うと脅しました。
 
 下院議長ナンシー・ペロシ(NancyPelosi)は1月6日にトランプ派の群衆が議会議事堂を襲撃した2日後にマーク・ミレー統合参謀本部議長(Gen.MarkMilley)と、不安定な大統領が核兵器を発射することを防ぐことについて話したと民主党議員にいいました。

 「心配はバイデンではなく、もう一人のトランプや将来のトランプみたいな大統領についてです」と、憂慮する科学者同盟(theUnionofConcernedScientists)で核兵器の危険を提唱するスティーブン・ヤング(StephenYoung)はいいました。「一時間足らずで1億人、10億人を殺すこの能力を一人の人間が持つべきではありません」。

 議員の書簡は副大統領と下院議長を含む他の当局者が下される前に発射命令に同意すべきだと要求しました。

 「どの大統領も核兵器を命じる前におそらく顧問と相談するでしょうが、そうする必要はありません」と書簡は述べます。「軍は戦争法上合法と評価したら命令を実行する義務があります。米核部隊のいまの態勢の下では、その攻撃は数分間で起こります」。

 しかし、緊急事態の間に素早い決定を出す能力を断念するのは、重大な安全保障の結果となりかねないと、他の者はいいます。

 大統領と副大統領両者には常に、いわゆる「フットボール」とよばれるものが随伴します。それは核兵器発射を命令する通信機器を含みます。

 敵対国が合衆国に対して攻撃をしたら、大統領には決断して、攻撃を始めるために潜在的に数分しかないことは、危機の時にどれか補助的な機関についての懸念を生みます。

 退役陸軍5等上級准尉で統合軍レベルで核兵器の仕様計画を助けた元攻撃目標照準将校のジョン・ロビンソン(JohnRobinson)は、委員会が「核のフットボール」を持つのは破滅的かもしれないといいました。

 そうした変更は議会指導者たちが彼ら自身の核のフットボールを持つことを意味するかもしれないといい、「それはどのように機能します?」と彼は問いました。「たった20分間しかありません。北朝鮮が日本に武器を発射したら、我々には条約の義務が生じます」。

 最大の心配は、複数の人たちが第一弾や報復の攻撃を許可しなければならないなら、それは潜在的な憲法上の危機となるかもしれないことだと、ロビンソンはいいました。

 「彼らの一人が同意しなかったらどうなります?。これは多数派の投票ですか?。彼らが正しいか間違っているかに関係なく、それでも(合衆国憲法)第2章第2条と格闘しなければなりません。そこには最高指揮官よりもこのレベルの責任がある者がいるとは書いていません」。

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 トランプは知人に「なぜアメリカは核兵器を使ってはいけないのか?」と問うたことがあります。トランプのように人格障害の人間は、他者に危害を加えても罪悪感を持ちません。極度の暴力であっても正当化します。1月6日の議事堂占拠事件でも、その性格は明らかになりました。トランプに核兵器の使用権限を持たせることが壊滅的なのはいうまでもないことです。

 ロビンソン氏がいう憲法第2章第2条は3項ありますが、その第1項に言及していると思われます。

[第1項]大統領は、合衆国の陸軍および海軍ならびに現に合衆国の軍務に就くため召集された各州の民兵団の最高司令官である。大統領は、行政各部門の長官に対し、それぞれの職務に関するいかなる事項についても、文書によって意見を述べることを要求することができる。大統領は、弾劾の場合を除き、合衆国に対する犯罪について、刑の執行停止または恩赦をする権限を有する。

 核兵器のような究極的兵器について、完全な命令系統は見出しにくいでしょう。議事堂占拠事件に先立って、トランプはマイク・ペンス副大統領に議会でバイデンの当選を否定しろと命じられましたが、政情な判断をして、ペンスは拒否しました。大統領が異常でも、副大統領が正常な判断ができて、核兵器の使用において大統領と副大統領が合意する必要があれば、何とか兵器の使用は避けられるでしょう。しかし、副大統領も異常だったら?。もし、完全に異常な人物が核兵器の発射権限すべてを牛耳ったらどうなるでしょうか?。こういう疑問は映画「博士の異常な愛情」でも描かれました。精神に異常をきたした指揮官が爆撃機にソ連に核爆弾を投じるよう命令を出してしまいます。爆撃機の搭乗員は命令が真正と判断して核攻撃を実施してしまうという話です。発射権限を持つ者が複数いて、意見が一致しない恐れよりも、複数のトランプの方が心配です。
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2021年02月24日

議事堂占拠事件に関して公聴会が開かれる

 military.comによれば、連邦議員は火曜日、1月6日に米議会議事堂を暴徒の群れから守ることに失敗したことについて治安当局者を質問攻めにし、州兵が何時間も対応しなかった理由を尋ねました。

 「私は州軍を議事堂の地に直ちに送ることへの躊躇に驚きました」と、ワシントン特別区首都警察本部長、ロバート・J・コンティ三世(Robert J. Contee III)は、攻撃についての合同公聴会で上院議員にいいました。

 1月6日午後1時、爆発物が共和党と民主党の本部で発見されました。同時に、ドナルド・トランプ元大統領(Donald Trump)を支持する暴徒たちが議事堂の警察を圧倒し、建物の占拠を始め、法執行機関を鈍器と化学物質で攻撃しました。州軍兵士は午後5時になるまで到着しませんでした。

 法執行機関と軍が始めた連絡が途絶えた場所や、なぜ兵士が攻撃に先立って武装して議事堂にいなかったのかは不明です。元首都警察本部長、スティーブン・サンド(Steven Sund)は、彼は軍隊の応援で複数の要請を出し、これらの要請はいずれも無視されるか官僚機構の網の目の中で失われたといいました。

 議事堂に派遣される前、警棒で武装するだけで防弾具を身につけない約300人の陸軍兵士と空軍兵士がワシントン特別区周辺の場所に配置されました。警棒をもたないその他の者たちは地下鉄駅に配置され、交通規制を支援しました。

 コンティは、この配置は「平和的な権力移行の基本的手順である、選挙人の投票の集計を止めようとして米議会議事堂への攻撃をはじめた数千人のアメリカ国民の群衆」に対抗するためには、「かろうじて足りた」といいました。

 議事堂攻撃に先立った集会に数千人の人びとが参加しましたが、建物に入ったのは約800人と推定されます。

 本部長は、攻撃の間に、彼は午後2時22分に州軍、首都警察と陸軍省の指揮官との電話に参加したといいました。彼は米国内に隊員を派遣する考えがないため、兵の派遣に重い腰を上げなかったと国防当局を非難しました。

 「州軍からすぐに『イエス』との言葉はありませんでした。対応は計画についての質問が多かった。地上軍みたいにみえるものの見方に、より集中されていました」とコンティはいいました。「私は呆然としました。私には命をかけて戦っている警察官がいて、我々はチェックボックスに印をつける演習みたいなことをやっていました」。

 サンド本部長は、首都警察は軍隊の支援や他の法執行機関からの十分な応援なしに大規模な襲撃を闘うための装備はないと証言しました。

 「単一の民間法執行機関に、特に首都警察に、いかなる犠牲を払っても建物を突破することに集中した大勢の武装し、暴力的で連携した個人の暴動を、十分な軍隊やその他の法執行機関の支援なしに撃退するための訓練と装備はありません」と彼は議員たちにいいました

 サンド本部長は占拠の翌日に辞職しましたが、警備の失敗は不十分な計画の結果ではなかったと議員たちにいいました。そのかわりに、彼は不十分な情報と暴力の範囲の予想の欠落のためだといいました。

 「適切に準備される情報がなく、首都警察は極度に暴力的な群集に対して議事堂を守るために大きく数で上回られ、取り残されました」と彼はいいました。「首都警察の警察官とパートナーの機関はあの日、とてつもない不均等に対して勇敢に戦いました」。

 群集と徒手格闘を行ったあと、少なくとも140人の警察官が負傷しました。州空軍の退役軍人の首都警察官、ブライアン・シクニック(Brian Sicknick)が群集と戦ったあとで死亡しました。

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 議事堂占拠事件の報告書はまだ公表されておらず、この公聴会はそのための調査の一環なのでしょう。

 サンド元本部長の発言はどうも信じられません。不穏な動きは事前に分かっていたのに、対応しなかったのは疑問です。4年以上経ってもトランプの異常な性格を理解していなかったのなら、観察力が足りなすぎるといえます。すでに大勢の心理学者がトランプを人格障害と診断しています。自分のためなら他人にどんな不利益が出ても気にしないことは理解できたはずです。大統領がそこまでしないと考えていたなら、それは考えが浅すぎます。

 国内での暴動に対して州軍の対応が遅いのは昔からです。1992年のロサンゼルス暴動でも州軍の対応はゆっくりでした。それは国内へ軍隊を派遣しない米軍の伝統のためですが、それは建国時からのことだから、すでに分かっていたことです。軍は事前にサンドに応援が必要かと尋ねていたのに、議事堂警察は要請していません。

 この公聴会では、トランプの集会を警察が監視していたかは明らかになっていません。群衆が議事堂へ向けて歩き出したのを警察が把握したのはいつかも。集会が開かれることは、事前にネットに載っていましたから、注意はできたはずです。大統領の政治活動を把握するなど恐れ多いのでしょうか?。たとえ、イカれた大統領でも。

 議会防護の対策は色々考えられますが、大統領警護にシークレットサービスがあるように、議会警察に議会を攻撃する企てがあるかを調べる部署を設けるのがよいかも知れません。FBIと協力して、極右団体などを監視するのです。

 アメリカには様々な法執行機関や情報機関がありますが、変な人物をトップにすえれば内側から容易に侵食されます。普通の人なら、このような騒動は国の脆弱性を海外に知らしめるだけだと考えますが、極度に自己中心的なトランプはそんなことに無頓着です。誤りも許されるのが民主主義とはいいながら、やはり、この種の誤りは致命的と思い知らされます。
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2021年02月23日

劣化ウランは湾岸戦争病の原因ではないとの研究報告

 military.comによれば、新しい研究は1991年の湾岸戦争で戦車と砲弾の中の劣化ウランは、湾岸戦争シンドロームとして知られる、退役軍人たちがその後の数年間に直面した説明できない病気に関与しないと結論しました。

 テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター(the University of Texas Southwestern Medical Center)とイギリスのポーツマス大学(the University of Portsmouth)による調査結果は、現在、湾岸戦争病(Gulf War illness)として知られる多くの病気の潜在的原因についての軍と復員軍人援護局の数十年間の理解と対立します。

 「劣化ウランが病気を起こすに十分な量で病者たちの中に存在せず、決して存在しなかったことは、過去30年間にわたり、劣化ウランが病気の原因ではないかと疑ってきた患者を含めて多くの人を驚かせるでしょう」と、曝露を追跡するために退役軍人の尿をスキャンするために研究の手法を開発したポーツマス大学のウラニウム・アイソトープの専門家、ランダル・パリッシュ(Randall Parrish)はいいました。

 研究は106人は湾岸戦争病にかかり、48人はかかっっていない退役軍人154人の尿中の劣化ウランのレベルを調べました。

 退役軍人の尿中のアイソトープを探知するのに用いた正確さのレベルと研究に関与した期間により、調査結果は劣化ウランの曝露と湾岸戦争病の間につながりがあるかについて決定的な答えを提供するかもしれないと、ダラスに拠点を置く研究病院のサウスウェスタン・メディカルセンターで感染症部長のロバート・ハーレイ博士(Dr. Robert Haley)は電話インタビューでマクラッチー誌(McClatchy )にいいました。

 研究は資金提供と評価に20年を費やしました。2008年と2010年の間、研究者たちは退役軍人それぞれを、いかなるその他の変化を除外するために一週間の統制された観察のために入院させてきたと、ハーレイ博士はいいました。研究報告は木曜日に、同業者により評価される専門誌「Scientific Reports」に公表されることになっています。

 研究が引用した2000年の国防総省の報告書によれば、アメリカと同盟国の戦車、航空機と大砲は1991年の地上侵攻の間に約300トンの劣化ウラン弾をイラク南部に撃ちました。

 砂漠の嵐作戦のために、500,000人とみつもられる米兵が中東に派遣されました。復員軍人援護局によれば、それらの約25%が倦怠感、頭痛、関節痛、目まい、呼吸器疾患と記憶障害を含む慢性症状を報告しています。

 何年間も、湾岸戦争の退役軍人で元陸軍将校のラリー・チェニー(Larry Chaney)は劣化ウランが彼が被った麻痺に関与したかもしれないと疑っていました。約30年前、1991年2月27日、最大の戦車戦作戦の間に2台の車両が友軍の砲撃で破壊されたとき、チェニーはM2A1ブラッドレー歩兵戦闘車の小隊を率いる27歳の中尉でした。

 「鮮明な閃光」があったと、チェニーはマクラッチー誌との電話インタビューでいいました。「2個の劣化ウランの小片が私の頭皮を打ち、衝撃が私を襲いました」。

 チェニーは研究の参加者となりました。彼は、彼が劣化ウランは湾岸戦争病の軽い症状と呼んだものの原因ではなかったという調査結果を信頼するといいました。彼が共に勤めた退役軍人はイラクで、多くの癌と甲状腺の問題につながったかもしれない神経剤に曝露された可能性をさらに懸念しました。

 研究は隊員が皮膚に劣化ウランを埋め込まれたかもしれない破片に当たったかどうかや、戦場の空中粒子の吸入をつうじて曝露したと疑ったかどうかのような、曝露のレベルに基づいて長期の間に血流の中から発見されたと予測される劣化ウランの量も計算しました。

 湾岸戦争病の症状がない48人の参加者の約半数は砂漠の嵐作戦のためにまったく中東に派遣されず、劣化ウランの曝露を経験しませんでした。

 しかし、湾岸戦争病にかかっている者と病気にかかっていない制御されたグループの両方で、結果は同じでした。研究は劣化ウランの大きな痕跡を見いださなかったとハーレイ博士はいいました。

 「受け入れられた症例の定義の一つの湾岸戦争シンドロームにかかっているかどうか、彼らの症状の種類に関係なく、曝露の種類に関係なく、我々は何も発見しませんでした」と彼はいいました。

 調査結果は復員軍人援護局の派遣後医療部の主任顧問、パトリシア・ハスティングス博士(Dr. Patricia Hastings)の評価を受けることになっていると、声明されました。

 「劣化ウランが慢性の複合症状の病気の原因でないらしいという研究は、メリーランド州のボルチモア市にある復員軍人援護局の劣化ウランセンターの科学者によって評価されるでしょう」とハスティングス博士はいいました。

 復員軍人援護局はこの研究の初期の発見の一部を提供しました」と彼女はいいました。

 劣化ウランは9/11後にイラクとアフガニスタンに派遣された退役軍人が直面した病気でも疑われています。

 コリーン・ボウマン(Coleen Bowman)の亡夫、ロバート・ボウマン陸軍曹長(Sgt. Maj. Robert Bowman)は2004年にイラクに派遣された陸軍のレンジャー隊員でした。彼のストライカー装甲車は12ヶ月間海外にいる間に少なくとも13回敵の攻撃が命中しました。ストライカーの装甲の中の劣化ウランは攻撃を和らげました。彼は2013年に44歳で胆管癌で亡くなりました。

 彼の医療記録の中で、テキサス州のエル・パソ(El Paso)の陸軍医療センターでボウマンを治療した医師は2011年に、珍しい癌は「増強された装甲車の燃えた劣化ウラン」を含む環境の要因と関係があると書きました。

 「彼の症状に他の合理的な説明はありません」と医師は結論しました。

 毒物への他の曝露に関して軍隊の配偶者と何年間も接触して過ごしたコリーン・ボウマンは、彼女は研究とその結論を歓迎するといいました。

 彼女は湾岸戦争病の研究者たちが、退役軍人の新世代の曝露も研究することを望むといいました。

 「私には、ロブの癌を生んだ物質が何かを知ることができるとは思えません」とボウマンはマクラッチー誌に電話インタビューでいいました。

 「でも、多くの退役軍人は9/11後に尿中に高いレベルの劣化ウランを示しました」と彼女はいいました。「ロブの部隊の退役軍人もです」。

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 長期にわたる専門家の研究の要旨を読んだだけなので、その意味を語ることはできませんが、一つの区切りが起こったのかという気はしました。湾岸戦争シンドロームで苦しむ人たちの話は何度も聞きましたし、砲弾が命中して飛び散った劣化ウランに何か原因があるのかと考えたこともありました。しかし、健康な人との差はないということですから、それで納得するしかないのかもしれません。

 しかし、コリーン・ボウマンがいうように、9/11後に劣化ウランのレベルが高かったのなら、その影響はないのでしょうか。この研究は2008年から行われたのだから、2001年の9/11からかなりの年月が経っています。アフガニスタンには少数ながらすぐに部隊が派遣され、イラクでは2003年に地上戦を始めています。この戦いの初期に劣化ウランに曝露した場合はどうなのでしょうか?。復員軍人援護局の評価にも注目してきたいと思います。
posted by スパイク通信員 at 08:29| Comment(0) | 日記