2021年02月09日

そうりゅうの衝突事故

 2月8日午前11時頃、海上自衛隊の「そうりゅう」が民間商船と衝突しました。商船は「オーシャン・アルテミス(OCEAN ARTEMIS)」という貨物船です。第5管区海上保安本部が撮影した写真によると、艦橋にある潜望鏡とアンテナ、潜舵が壊れたとのことです。

 オーシャン・アルテミスは総トン数51,208、全長229メートル、幅38メートル、2011年就航。そうりゅうは全長84メートル、幅9.1メートル、2009年就役。

 「Marine Traffic」のサイトでオーシャン・アルテミスの航跡を調べると、同船は当時、九州の南端を回って、水島港へ向けて航行中でした。事故発生時はまっすぐに進んでいることから、事故に気がつかなかったと推測できます。加藤勝信官房長官は「海上保安庁が衝突した船舶に連絡したところ、衝突の振動はなく、船体のダメージはないと思われるとの回答だった」と発表していますから、貨物船は事故に気がつくことなく航行を続けたと考えられます。事故当時の航跡はすでにデータで見られませんでしたが、12時12分から後の航跡は確認できます。事故当時も直進していたはずです。

 以上のように整理すると、そうりゅうの側に責任があったことが分かります。潜望鏡を出すため海面近くまで浮上した際、商船の底をこすったということですから、確認不足が原因です。潜望鏡深度に浮上する場合、まず、ソナーで周囲に船舶がいないことを確認し、それから潜望鏡深度へ浮上し、潜望鏡をあげます。岸信夫防衛相が「潜望鏡で相手を確認し、回避措置を取ろうとしたがよけきれなかった。誠に残念だ」と述べているので、潜望鏡をみたとき、目の前に貨物船がいたのでしょう。すぐに急速潜航と潜望鏡下げを行おうとしたけど、間に合うはずはないので、潜望鏡とそれに付属するアンテナをぶつけて損傷し、さらに潜舵がぶつかったということです。ソナーによる確認不足しか考えられません。しかし、大きな貨物船がソナーで探知できないとは考えにくいので、距離を間違えたのかもしれません。それとも、距離の確認から浮上までに時間がかかり、予想以上に近い場所に浮上したのかもしれません。

 問題は通報がなぜこんなに遅れたかです。司令部に報告したのは午後2時20分で、事故から3時間20分も経っています。携帯電話で連絡したということですから、電波がつながらなかったのでしょうか?。いまは海上でも携帯電話が使えるようになっていますが、ドコモのサービスエリアマップをみると、予想される事故発生場所は微妙に圏外であるようです。そこで、圏内に向かって浮上して航行する必要があったと考えられます。それは損傷の確認をしてからになりますから、時間がかかるのかもしれません。これには、非常用のアンテナを装備するしかないでしょう。無線機と非常用アンテナをつなぎ、ハッチを開けて、アンテナを外に出して送信するのです。

貨物船の航路と衝突予想場所
ドコモのサービスエリアマップ
posted by スパイク通信員 at 12:06| Comment(0) | 日記