2021年02月10日

そうりゅう衝突事故の続報

 海上自衛隊の「そうりゅう」と貨物船「オーシャン・アルテミス」の衝突事故について、そうりゅうはソナーで貨物船を発見していたはずだと先に書きましたが、実際にはまったく気がついておらず、潜望鏡で見て、はじめて貨物船をみつけたことが確認されました。浮上する際は、ソナーの死角を埋めるために、艦の方向を変えながらソナーで全周を調べます。巨大な貨物船を見つけられなかったということは、この手順で間違いがあって、ソナーで探知をしなかったエリアがあって、そこに貨物船がいたということです。正直なところ、信じられない気持ちです。ひどいミスです。

 山村浩海上幕僚長が9日の記者会見で、「通信アンテナが全部、一時的にでも使えなくなるという想定はなかった。想定外は許されない」と述べたとのことです。通信アンテナは潜望鏡などと共に艦橋の上部にありますが、潜望鏡深度に浮上するときは伸ばさないはずです。報道の映像をみると、艦橋の外板が壊れています。船体は二重構造なので、外側の外板が壊れても浸水はしないでしょうから、アンテナが壊れた理由が分かりません。艦橋の損傷が見た目よりもひどいのかもしれません。

 しかも、山村幕僚長は携帯用衛星電話の配備を検討すると発言しました。驚きの発言です。これで機密は保たれるのでしょうか?。

 潜水艦の通信システムの説明はよく目にしますが、非常時用のシステムについての説明は見たことがありません。米海軍の原潜には信号発射管があり、メッセージを記録したブイを発射できます。ブイは水上に出るとメッセージを送信します。当然、メッセージは暗号化されているはずです。これがあれば、そうりゅうはすぐに事故を報告できたはずです。つまり、海自の潜水艦にはこういう装置がないのです。

 艦橋のアンテナが壊れた場合はどうするのかは、はっきりとした答えは現段階では見つけられませんでした。2015年12月版の「RULES FOR CLASSIFICATION Part 4 Sub-surface ships Chapter 1 Submarines」には予備の無線機が装備されていることが分かりました。関係する部分だけを引用しました。

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3 通信装備

3.1 総則
3.1.1 潜水艦の種類、大きさと機能や役務の範囲に関係なく、潜水艦は内部および外部通信の様々な手段を装備されなければなりません。
3.1.2 アンテナと送受波器は取り外せないように設置され、相互干渉を起こさないように配置されなければなりません。
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3.3 水上通信
3.3.1 潜水艦は少なくとも1基の2チャンネル送受信機を装備されなければなりません。チャンネルの一つはVHFの16のセフティ・チャンネルが動作しなければならず、もう一つは通信のためのワーキング・チャンネルとして使われます。
3.3.2 潜水艦は追加の無線電話も装備されなければなりません。
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3.5 緊急通信装備
3.5.1 潜水艦は少なくとも2つの代替電力供給に接続された、水上とシュノーケリング両方で稼働できる無線電話を装備されなければなりません。緊急無線電話装備には少なくとも1基のセフティ・チャンネルで動作するVHF送受信機を含めなければなりません。予備のUTシステムには、潜水艦の公称潜水深度NDDの2倍に相当する最小範囲が必要です。
posted by スパイク通信員 at 19:51| Comment(0) | 日記

海兵隊は未だにいじめ事件が最多

https://www.military.com/daily-news/2021/02/07/nearly-90-of-military-hazing-complaints-come-marine-corps-data-shows.html

 military.comによれば、海兵隊訓練教官が一人を工業用乾燥機に放り込み、もう一人の死亡に関与して、イスラム教徒の新兵をいじめて10年間服役の有罪判決を受けてから1年後、データは10件中の9件が未だに海兵隊から出たことを示します。

 情報公開請求で得られた軍隊内のいじめの年次報告は、宇宙軍をのぞいて国防総省で最小の軍である海兵隊は、いじめの苦情と実証されたいじめ事件で最大の割合を占めます。2018年度のデータはその年のいじめの苦情の88%より大きい291件の中256件が海兵隊で出され、実証されたいじめ事件の102件中91件が海兵隊員の中で行われました。

 海軍は苦情が17件で事件が10件と大差のある2位で、次いで陸軍が苦情が13件で事件はゼロ、最後は空軍で苦情が5件で事件が1件でした。報告の時点で総計71件の苦情が根拠がないと判明し、110件が決定待ちで、8件が結論が出ていないか不明です。

 今月、Military.comが公表したデータは、サウスカロライナ州のパリスアイランド(Parris Island)の訓練基地でのいじめ事件をめぐり海兵隊が国家的な注目を浴びた直後に撮影された問題のあるスナップショットを提示します。新兵のラヒール・シディクィ(Raheel Siddiqui)は2016年に、訓練教官の手で虐待された後、パリスアイランドの建物の3階から飛び降りて自殺したとされます。教官はパリスアイランドの軍事法廷で虐待とその他の犯罪で10年間の刑を受けました。新兵を訓練した他の海兵隊員は、漂白剤で覆われた床の上で肉体的な訓練を強い、裸の訓練生たちに前後に走り、それからシャワーの壁に互いを詰め込むよう命じた結果、植皮を必要とする化学的な火傷を負わせたことが判明しました。

 全部で8人の訓練教官がパリスアイランドのいじめスキャンダルで国家的な注目の中で同じレベルの処罰を受け、調査は多数の変化のための勧告を結論しました。そして同じ年、第1海兵師団内のいじめに関する取り締まりは、少なくとも18人の海兵隊員を軍から追放し、30人を営巣に入れました。

 そんな中、2018年のデータは神経に触るようです。

 しかし、一部の者たちはこの情報は、積極的に虐待行為を追跡している軍の一つがある一方で、他は問題を見過ごすという、より複雑な状況を描くといいます。

新しい説明責任基準


 2018年の報告ははじめてのいじめに関する国防総省規模の調査です。当時のジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)が、軍隊内のあらゆる形のいじめと虐待行為を抑止するために実施された抜本的な新しい政策の一環として、同じ年の初期に委託しました。マティスの命令は、各軍に最初の18ヶ月に収集したいじめのデータを引き渡し、観察のために年次報告を必須とする期限を2018年12月31日に設定した、当時のロバート・ウォーク国防副長官(Deputy Defense Secretary Robert Work)の2015年の覚え書きを根拠にします。

 命令はいじめの定義も設定しました。「ハラスメントの一形態で……身体的や心理的に傷つけること、または身体的や心理的に傷づけるリスクを作ること。その目的はすべての軍隊や国防総省の民間組織への加入、加入許可、提携、地位や立場の変更または継続的なメンバーシップの条件である」。

 新しく得られた報告は、特定のいじめ事件や苦情の詳細を含みませんが、実証された事件を、身体的、心理的、文字化、口頭と言外に分類します。

 海兵隊ではいじめ事件の60%が身体的で、32%が口頭、残りが言外でした。他の軍隊は似たような分析結果で、海軍だけは6件の実正された心理的ないじめ事件がありました。

 報告はいじめの苦情の発端やそれらが出された日を示しませんが、いじめがいつ起きたかと誰が起こしたかについて一部の情報を含んでいます。

 驚くことではないものの、実証されたいじめのほとんどは2018年の任務中に起きました。軍のいじめの犠牲者の約100%は、わずかな例外を除くとE-4以下、25歳より下の下級下士卒の隊員でした。ほとんどの加害者も下級下士卒で、約20%がE-5とE-6で、違反者の8人が上級下士卒か下級将校でした。

 国防総省の中では、いじめを報告された兵士の8人のみが女性でした。

データ不足


 いじめの違反者と告発者のほとんどが白人である一方で、データはいくぶん不足しています。特定の事件において犠牲者と違反者の人種的な断絶の兆候や特定のいじめの種類を導く条件が何かを示すものはありません。いじめ事件の重大性や犠牲者への短期間と長期間の影響を示す情報はどちらもありません。

 しかし、明らかなのは、各軍のいじめ報告の割合に関する2018年のデータは異常ではないということです。Military.comが入手した2017年度のデータの外観は、その年の299件のいじめ報告の233件が海兵隊の由来であること、実証された事件の136件が海兵隊で起きたことを示します。

 国防総省は2019年度のデータを公表しておらず、2020年のデータは軍に提供されていませんが、海兵隊当局は2019年に海兵隊でいじめの報告が劇的に減少したことをを示すデータを提供しました。その年、海兵隊の苦情は188件で、実証されたいじめ事件は47件だったと、当局はいいました。

 「いじめは規律あるプロである軍隊にある余地はなく、海兵隊ではいかなる形でも許容しません。いじめは海兵隊員の信頼性と仲間の海兵隊員にもつ信頼とリーダーシップを破壊することで我々の戦闘能力を低下させます」と、海兵隊の人力・予備役部の広報官、イボンヌ・カーロック(Yvonne Carlock)はMilitary.comにいいました。

 カーロックは、すべてのいじめの苦情は「最初の苦情・申し立てから最低まで」追跡され、軍は傍観者の介入を強調し、海兵隊員と海軍隊員に目にしたすべてのいじめを報告するよう求めるとつけ加えました。

 ランド社による2015年の研究は、海兵隊は沿岸警備隊を除くと、特定の対いじめ訓練を提供し、さまざまなキャリアの間隔で追加の訓練を年次の再訓練と共に提供していて、最も一貫性があることを見いだしました。しかし、その時点でのギャップはまだ存在し報告は、海兵隊の対いじめ訓練は講義のみであり、グループでの議論と構造化された評価はないことを見いだしました。

 しかし、最近の注目されたいじめ事件が呼び起こす厳しさは、海兵隊が問題を他の軍よりも、よりよく、さらに一層一貫して問題を追跡することかもしれません。それは、軍隊のいじめをおら和せ、説明責任を高めることを優先事項としているカルフォルニア州の民主党議員、ジュディ・チュー下院議員(Rep. Judy Chu)の主張です。

 チューの甥のハリー・リュー海兵伍長(Lance Cpl. Harry Lew)は、2011年にアフガニスタン派遣中に同僚のいじめに続いて自殺しました。3人の海兵隊員が彼の死の結果として起訴され、司法取引で2人が無罪判決を受け、1人が30日間の有罪判決を受けました。

 「本当の真実は軍隊内のいじめが不良で不完全なデータが原因で未だに不透明だということです」とチューは2月5日の声明の中でMilitary.comにいいました。彼女は、2016年の時点で海兵隊しか実証され、実証されなかったいじめの報告両方を一貫して追跡しないという政府説明責任局の報告に言及しました。

 「これは海兵隊がより多くいじめの問題を持つことではなく、他の軍が彼らの問題を報告していないことを意味します」と彼女は声明でいいました。「それにも関わらず、この問題があるデータは明らかにするのは、いじめと不統一は未だにわが軍に蔓延する問題であることです。それは我々の国家安全保障と、我々のためにあらゆることでリスクを負う、制服を着た男女の健康と安全のために悪いことです」。

文化的な影響


 しかし、文化もデータが示す状況で役割を演じているようです。海兵隊はどの軍よりも平均年齢が若く、大半が男性で大半が下級の階級です。海兵隊は肉体的に最も厳しいことを誇り、新兵たちは映画は残虐な海兵隊のいじめ事件が主要なストーリーの映画、「フル・メタル・ジャケット」や「ア・フュー・グッドメン」のような作品によって知られる海兵隊の見方とともに新兵訓練所を訪れます。

 「the Southern California Interdisciplinary Law Journal」での2020年の司法評価記事の中で、グレゴリー・S・パークス(Gregory S. Parks)とジャスミン・バージェス(Jasmine Burgess)ら著者たちは心理的、文化的、組織的な原因を探っています。

 彼らの研究を強調するある概念的な実例で、新兵としていじめられ、伝統を継承することは正当だと信じる海兵隊訓練教官、彼らは「ダリウス・イマ(Darrius Ima)」を紹介します。

 「ダリウスは、彼らがいじめで捕まって、処罰される可能性が小さいと信じただけでなく、海兵隊のコミュニティがいじめを大事にしていると誤って信じました。要するに、ダリウスはいじめの問題について道義的に解放されています。彼はたとえば、絆を築くといった純粋に前向きな論理的な根拠を提供することで行いを正当化しようとしました」。

 ウェーク・フォレスト大学(Wake Forest University)で法学教授で、2月5日にMilitary.comに語ったあらゆる種類のいじめの専門家のパークスは、いじめのような問題についての文化的な視点を変えることは長いプロセスになるかもしれないといいました。

 「組織的な文化は重要です」と彼はいいました。「数十年、数世代にもわたって組織内に働くダイナミクスは何でしょうか。そして、それを解きほぐすのが難しいのはなぜか。同僚から多くの批判的な意見を受け取ったとき、あえて難しい道を選び、システムに抵抗するのはとても困難です」。

 彼は軍隊、特に高いレベルの肉体的能力と精神的タフさを要求し、誇る海兵隊は、いじめへと境界線を越える訓練と儀式をする傾向があるかもしれません。

 「こういう肉体的な要素はありますが、人々を心理的な側面もあります」と彼はいいました。「それを強調するのはより簡単です」。

 新たに得られたデータは、示します。同僚や部下をいじめることが判明した場合、それが終結していなくても隊員のキャリアに影響を与えることを示します。2018年度、実証されたいじめの違反者の100%が何らかの懲戒を受けました。

 海兵隊では、174人の加害者が総計365件の矯正・懲戒処分を受けました。海兵隊員の全懲戒処分の3分の1は管理レベルで、半数を少し超える分が非司法処罰でした。部隊レベルの処罰は公に公開されておらず、そのために追跡は困難です。

 約44人の海兵隊員がいじめに関連して様々なレベルの軍事裁判に起訴されました。海兵隊はいじめに関して軍事裁判にかける唯一の軍隊でした。

 「我々はすべての海兵隊員に訓練と教育を続け、こうした行為が我々の基本的価値観に合致しないことを彼らに教え込み、加害者の説明責任を維持するでしょう」と海兵隊の広報官、カーロックはMilitary.comにいいいました。「行動し、対応するのに失敗することは、我々が何者かに合致しないだけでなく、我々の伝統を劣化させ、我々の団結と士気を脅かし、任務達成を損ないます」。

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 ハリー・リュー海兵伍長の件は旧サイトで紹介したことがありました。(関連記事はこちら

 いじめの問題は繰り返して取り上げていますが、この記事を見ても、前からいわれていることの繰り返しですね。軍隊内の文化の話も前からいわれていることです。

 もっと詳しいデータを手に入れて、自衛隊の中の処分事例と比較するのは、興味深い考察となるはずですが、米軍のデータも不完全で、自衛隊のデータは出そうにないので、処置なしですね。

 ロシア軍などは、もっとひどくて、特殊部隊は強いものだけが残ればよいという「北斗の拳」の世界だと聞きます。

 将校よりも下の階級で多いのも、何度言われたことか。特に部隊内で権限を持つ下士官レベルがやりだすと、手がつけられません。先が見えない、読んでいて気が滅入る記事です。しかし、アメリカでは連邦議員が動いている。日本では、そういう活動をする人がほとんどいない。軍事に強い政治家が野党にいないという問題があります。
posted by スパイク通信員 at 12:02| Comment(0) | 日記