2021年02月11日

「そうりゅう」接触事故の疑問など

 海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」と貨物船「オーシャン・アルテミス」の衝突事故について、これまでに分かったことから考えます。

 第5管区海上保安本部の調査で、貨物船の損傷は船首にあるバルバスバウ付近に擦り傷、へこみ、亀裂があることが分かりました。これは潜水艦が貨物船の前に出ようとして接触したことを示します。そうりゅうが周囲に船がいないと思ったというのが本当なら、これは致命的な失敗でした。また、潜望鏡を見えにくくするために、船の後方にできる波がある付近に出ようとして、船との距離や方位を誤ったのだとしても、致命的な失敗でした。後方から接触したのと違い、船の前方に衝突したのだから、それだけ衝撃は激しかったはずだからです。擦り傷だけでなく、へこみと亀裂が認められたことから、潜水艦の損傷もかなり大きいといわなければなりません。

 その時、海面に出ているのは潜望鏡のみで、船体は海中にあったはずですが、大型貨物船の船底は潜水艦に接触するだけ深い水中にあります。急速潜航を命じても、すぐに降下できるはずはなく、まもなく艦橋が貨物船の船底に接触したのです。

 潜望鏡深度では海面に出すのは潜望鏡だけで、通信アンテナやシュノーケルは出しません。金属製の部品を出せば出すほど、水上レーダーに捉えられやすくなるからです。ニュース映像から分かるのは艦橋の外板が壊れていることです。見た感じでは一層目の外板は壊れていますが、その内側にある二層目の外板は壊れていないようです。おそらく、艦内への浸水もなかったでしょう。これで通信アンテナが壊れた理由は明確ではありません。船体内にあった通信アンテナがなぜ壊れたのでしょうか?。潜望鏡も接触したということですから、長く伸びた潜望鏡が船体内で歪むなどして、それが通信アンテナを壊したのかもしれません。しかし、正確なところは分かりません。

 いずれにせよ、海自の潜水艦は遠方との連絡手段は無線機と艦橋の通信アンテナだけで、そこが壊れると連絡しようがないことが分かりました。携帯電話の圏内から出ると、遭難しようが攻撃で損傷しようが、通信アンテナが壊れていたら、救援をよぶことができないのです。自衛隊は本当に戦争があるとは思っておらず、危機感を煽ることで存在感を出したり、予算を得ているため、こういう細かな危機への対策はしていないことが、改めて浮き彫りになりました。
posted by スパイク通信員 at 09:16| Comment(0) | 日記