2021年06月29日

デモ対応でトランプとミレー大将の確執が明らかに

 military.comによれば、人種間の平等に関係する抗議に軍隊がどう対応すべきかについて、昨年夏の元大統領のドナルド・トランプ(Donald Trump)と統合参謀本部議長マーク・ミレー大将(Gen. Mark Milley)の意見の不一致は口汚い口論へと発展したと、新著が報じました。

 まもなく発売の本「Frankly, We Did Win This Election: The Inside Story of How Trump Lost,」の中で、ウォールストリート・ジャーナルの記者、マイケル・ベンダー(Michael Bender)は、特にマーク・エスパー国防長官(Mark Esper)とビル・バー司法長官(Bill Barr)とのシチュエーションルームで

 本の抜粋を入手したメディア「Axios」によると、ベンダーはミレー大将がトランプの断定を、彼は統合参謀本部議長であり、軍を指揮する立場にはなく、大統領の顧問であると、個人的に修正しようとしたと書きました。しかし、トランプはそれを聞こうとしなかったと彼は書きました。

 「俺はおまえが責任者だと言ったんだ!」とトランプは彼に叫んだ、とベンダーは書きました。

 「よろしいですか、私は責任者ではありません」とミレー大将は言い返しました。

 「俺にそんな口をきくな」とトランプは言いました。

 「なんてことだ」とミリー大将はほかの人たちに言いました。「ここには法律家が大勢います。誰か彼に私の法的な責任を教えてくれませんか?」。

 「彼が正しいですよ、大統領」とバー長官はいいました。「大将が正しい」。

 トランプは報道官を通じて、ミリーと口論したことはないと「Axios」を否定し、「ミレー大将が私に怒鳴ったら彼を解雇しただろう」とつけ加えました。トランプはベンダーがあったとされる事件についてコメントを求めたことはないともいいました。ベンダーは「Axios」に「複数の政権高官がこのやり取りを認め」、彼はトランプにこの事件への言い分を尋ねたけども、トランプが答えることはなかったといいました。

 ミレー大将のオフィスはMilitary.comの要請に直ちにコメントせず、「Axios」へはコメントを拒否しました。

 ベンダーは、トランプの言葉はシアトルとポートランドでの人種間の平等に関係する抗議と取り締まりがケーブル局で報じられると徐々に暴力的になったと書いたと、CNNが先週報じました。さらにベンダーは、トランプは政権当局者たちに抗議者と格闘する法執行官のビデオを見せ、彼らにこれをもっと見たいといいました。

 「これがこういう連中を扱うはずのやり方だ」とトランプはトップの法執行機関と軍当局者にいったとベンダーは報じました。「やつらの頭蓋骨を割れ!」。

 ベンダーは、トランプが軍隊に「くそったれの抗議者を殴れ。もっとだ」と望んだとも書きました。

 「やつらを撃て」とトランプが大統領執務室で数回いったとベンダーは書きました。

 CNNによれば、ベンダーはミレー大将とバー長官が押し返し、トランプは「なら、脚を撃て。足首でもいい。だがもっと残酷にだ」といいました。

 ニューヨークタイムズ紙は金曜日に、トランプは何回か、現役兵を抗議を収めるために派遣できるようにする反乱法を使いたいと示唆し、ホワイトハウスの側近は法を発動するために布告を起草しましたが、トランプがその措置をとることはありませんでした。

 ベンダーの本は、ミレー大将とエスパー長官は反乱法の使用に強く反対したと書いたとCNNは報じました。ミレー大将はトランプに州軍は法執行機関を支援するのに十分な力を持ち、反乱法の発動は抗議者に対する責任を地方の権威からホワイトハウスへ動かすとトランプに言ったとされます。

 ベンダーは、ある時点で、ミレー大将はエイブラハム・リンカーン大統領(President Abraham Lincoln)の像を指さしたと書きました。

 「あの人は反乱を経験しました」とミレー大将は言ったとされます。「我々が経験しているものは、大統領。抗議です」。

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 思った通りですね。米軍とトランプの間には埋めがたいギャップがありました。建国以来の米軍の伝統を理解しないトランプが軍のトップと対立するのは当然のことでした。今、アメリカの右翼勢力は米軍を批判しているとCNNが報じていました。右翼勢力は米軍を自らの側につくものと考えていたはずですが、変化が起きています。

 米軍は民間人の権威に仕えますが、同時に憲法も守らなければなりません。合衆国憲法が書かれる前、バージニア権利章典にも軍隊の弊害に対する記述があり、それは憲法にも反映されました。以後、米軍は米国内に現役兵を派遣しない。軍隊は民間の上に立たないことを守り続けてきました。トランプは私立陸軍幼年学校を卒業していますが、軍の歴史の授業は聞いていなかったらしく、このことをまったく理解していません。軍隊を自分の私兵として使えると信じています。

 リンカーン大統領の逸話は、彼が米国史上最初の徴兵制を敷いたときにニューヨーク市で徴兵制に抗議する反乱が起き、大統領が戒厳令を布告して米軍を鎮圧のために派遣した史実を示しています。この戒厳令も連邦最高裁が違憲判断を出し、取り消しています。つまりは、トランプに対する痛烈な皮肉になっている訳です。
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2021年06月20日

ミレー統合参謀本部議長が中国の台湾侵攻を否定

 ロイター通信によれば、7月17日に、マーク・ミレー統合参謀本部議長(Joint Chiefs of Staff General Mark Milley)が上院歳出委員会の公聴会で、中国が台湾に侵攻するかについて意見を述べました。記事から議長の発言を取り出して紹介します。

 「台湾は中国の中心的な国益のままだが、今は軍事的にそれを行う意図や動機は小さい」。

 「軍事的にそれ行う理由はなく、彼らはそれを知っている。だから、私は近々、近未来においては可能性はおそらく小さいと考える」。

 「能力の点での私の評価をいうと、中国には、彼らがそうすると望めば、台湾の島全体に向けた軍事作戦を行うための、現実の、本当の能力を開発する方法があると考える」

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 ミレー統合参謀本部議長の発言は軍事的に妥当なものと考えます。

 バイデン政権になって、トランプ政権への反動として、台湾がクローズアップされています。トランプ政権が同盟国に冷たかったことを反映して、バイデン政権は自分たちはそうではないとアピールしようとしています。そこで、中国が台湾に手を出したらただでは置かないと警告しているのです。

 しかし、軍事的には、中国が海兵隊を増強しているとはいえ、海峡を無事に渡って台湾に上陸するのは難しいと見られています。海峡の潮の流れは早く、米軍の潜水艦もいることを考えると、上陸部隊を載せた船が無事に台湾沿岸に到着できるかは疑問です。

さらに、政治的な環境を考えると、国連で説明ができないような行動をあえてやって、信用を永久に失うことはしないだろうといえます。

 しかし、中国は「ワン・チャイナ」を言い続けなければならず、そのために海兵隊などの上陸部隊を保持し続けないと格好がつきません。

 この構図を理解しないと、台湾侵攻は可能性が低いことを理解できないし、まして、尖閣諸島や沖縄なんかに侵攻できないことも理解できません。

 中国の拡張主義は防衛関係者が自衛隊のために利用している場合が多く、ほとんどの主張は信じるに値しません。
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2021年06月10日

議事堂占拠事件について上院が報告書を発表

 military.comによれば、1月6日の誤った連絡、混乱と官僚主義的な失敗が米議会議事堂で暴徒を鎮圧するために州軍を派遣するための努力を紛糾させたと、火曜日に公表された上院の報告書は結論しました。

 上院国土安全保障政府問題委員会と上院規則委員会の超党派報告書によれば、国防総省当局は、なぜコロンビア特別区州軍をその日の午後5時まで派遣しなかったのかを十分に説明できませんでした。

 国防総省の対応は、指揮官たちが特別区当局から連絡を受けたときに、彼らが何をすることを求められていたのかや、正式な命令が出されたのか、誰と調製すればよいかが分からないこともあって、何時間も遅れたと報告書は結論しました。

 国防総省当局は上院の調査者に、ジョージ・フロイド(George Floyd)殺害のあと、昨年夏の民間の暴動に対する国防総省の手荒な対応について彼らが受けた批判、特に抗議者の頭上に軍用ヘリコプターを飛ばしたこと、が1月6日の暴動にどう対応するかで国防総省をより慎重にしたといいました。

 報告書は国防総省当局が行き過ぎた軍事化の体裁を避けるために、特別区州軍を派遣する前に「明確な派遣計画」を必要としたと信じるといいました。

 2020年の事件の後、国防総省は、緊急対応部隊(QRF)を派遣する前に当時の陸軍長官ライアン・マッカーシー(then-Army Secretary Ryan McCarthy)が署名し、「最後の手段としてのみ」用いられることを必要とすることを含め、州軍の派遣を統制するための措置を整備しました。

 「米議会議事堂警察、州軍などの英雄的な行動のおかげで、1月6日、暴徒は自由で公正な大統領選挙の認定を妨害する目的を果たせませんでした」と、ミシガン州選出の民主党議員、ゲーリー・ピーターズ上院議員(Sen. Gary Peters)はリリースでいいました。彼は国土安全保障委員会の議長です。

 「1月6日の事件は恐ろしいものであり、超党派の調査はこの攻撃に対する警備の準備と緊急対応において、数多くの受け入れがたい広範な破綻を特定しました」とピーターズ議員は続けました。「我々の報告書は、こういう攻撃が再発しないようにするために、これらの失敗に対応し、議事堂の警備を強化するための重要な勧告を提供します」。

 あの午後、トランプの支持者の群れが選挙結果に怒り、議事堂の施設に押しかけたために地元当局が最初に陸軍と州軍の指揮官に電話をかけたとき、国防総省当局は要請が明確でなく、彼らは要求される援助の種類が何かを明確にする必要があるといいました。

 ムリエル・ボウザー特別区市長(D.C. Mayor Muriel Bowser)は午後1時34分にマッカーシー長官に電話し、群集が統制できなくなっているため、首都警察から国防総省が何か要請を受けていないか尋ねたと、報告書はいいました。

 報告書によれば、暴動のあとで辞職した元議事堂警察署長、ステファン・サンド(Steven Sund)も、特別区州軍指揮官、ウィリアム・ウォーカー大将(Gen. William Walker)に午後1時49分に助けを求める電話をしました。

 州軍の支援の明白な要請は最終的に午後2時30分頃に届いたと報告書はいいますが、さらなる誤った連絡が対応を混乱させ、立案に数時間かかりました。当時の国防長官、クリストファー・ミラー(Defense Secretary Christopher Miller)は、マッカーシー長官がウォーカー大将と任務の分析を行うと理解し、午後3時04分に派遣に対して署名しました。

 しかし、マッカーシー長官は別の理解をしていたと、報告書は結論しました。彼は州兵が特別区の本部を出る前にミラー長官に説明して彼の承認を得る必要があると考えました。マッカーシー長官は特別区当局と相談して計画を練り、州軍はボウザー署長が陸軍長官に電話をした3時間後、午後4時35分までに派遣する承認を受けました。州軍は最終的に約30分後の午後5時02分に動き出しました。

 報告書は、なぜそこに達するのにこうも時間がかかったかを「誰も説明できなかった」といい、混乱と連絡の破綻をあげました。

 報告書は議事堂警察の指揮官たちが緊急事態を宣言したり、外部の助けを要請するための必要条件を理解していなかったことも指摘しました。たとえば、議事堂警察委員会は特別区州軍に助けを求める前に彼ら全員が同意する必要があるかどうかで意見が分かれたと報告書はいいます。

 サンドは1月6日に先立って委員会に非常事態宣言と州軍の支援のための公式の要請を送りませんでした、これは暴動が勃発したら素早く対応するための彼の能力を困難にしたと報告書はいいました。彼が助けが来るために州軍に一方的に要請する権限をもたなかったためです。

 報告書は議会に、州軍の派遣が遅れるのを防ぐために、議事堂警察署長に緊急事態において特別区州軍に助けを求める権限を与え、承認プロセスと指揮系統を明らかにする法律を通過させることを助言しました。

 報告書は国防総省が一度は1月3日に、再び1月4日に議事堂警察に2回、特別区州軍からの助けの要請は必要ではなく、求めないことを確認したことを発見しました。

 国防総省と特別区州軍は、必要となるかもしれない支援と装備のレベルと指揮統制をどう機能させるかを含め、民間の騒乱とテロリズム事態に素早く対応するためにシナリオと不測の事態の計画を練
るべきだったと報告書は勧告しました。これは混乱を減らし、広がる緊急事態にずっと早くに対応する力を可能にすると、報告書はつけ加えました。

 州軍も緊急事態において即座に支援するために近くの管轄区域から兵士を動員する訓練すべきだと報告書は勧告しました。さらに、QRFが特別な事件のために対応が承認されたら、国防総省はどこで実施するかをいつ決定するのか、事件に素早く対応するのを確実にすべきだと報告書はいいました。

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 この報告書の全文はこちらにあります。

 アメリカでは毎度、暴徒に対する軍の対応は遅れます。ロスアンゼルス暴動の時もそうでした。繰り返し指摘することですが、アメリカは建国以来、軍が市民生活に介入することを罪としています。よって、そのために準備をすることを嫌い、それが今回の対応の遅れの原因となりました。しかし、アメリカのように大きな国では、こういう事件もたくさん起きる事件の一つとみなされ、国全体がその方向に傾くことがないという特徴もあります。

 軍が武装して議会施設に入ること自体、特別なことだと米軍は考えています。記事にある軍用ヘリコプターが抗議者の頭上を飛行したことも問題視されています。ヘリコプターには赤十字の記章がつけられていたので、問題はさらに大きくなりました。特に中立が求められる救護用のヘリコプターを威嚇のために群衆の頭上を飛ばしたのかと疑われたのです。日本はこういうことに無頓着なので、何かあったら機動隊が行ってくれると単純に考えます。実際、ネット上で自民党支持者が、暴徒が暴れているのだから軍隊で取り締まれと叫んでいるのを見ました。「大人しくしなさい」と教えられている日本人は、暴徒側に理解を示すことはありません。その行き過ぎた結果が戦前の軍人の暴走だったことも、あまり反省していません。

 前に紹介した記事では、装備品を取り出して兵士に配るだけでも時間を要したことが指摘されていますが、この記事には出てきません。報告書には書いてあるのかも知れませんが、これは訓練で短縮するしかありません。しかし、これは軍隊が短時間で武装して議会に入れることを意味するので、クーデターに利用されるという懸念もあります。一方で、マイク・ペンス副大統領を絞首刑にするために、暴徒は死刑台を持参して、議事堂の敷地内に組み立てもしました。もし、ペンスが彼らに拘束されていたら、どうなったのかは明白です。連邦議員たちはきわめて危険な場にいたことは、議事堂内のカメラ映像で明らかになりました。議員たちが議場から避難した1分後には暴徒が議場に入っています。これらの対立する要素をどう解決するかがポイントです。

 州軍が議事堂に入ってから、どのように群衆を排除したかの情報はまだ出ていません。対暴動訓練では、盾で身を守りながら、火炎瓶は素早く足踏みをして火を消し、前進しながら群衆を追い立てる訓練をしますが、今回はどのようにやったのでしょうか。全方位から議事堂を囲み、同時に群衆を包囲して投降を迫ったのか。直ちに警棒で制圧したのか。州軍が到着した頃には群衆の大半は消えうせていたのか。この辺の詳細も知りたいと思っています。
posted by スパイク通信員 at 09:42| Comment(0) | 日記