2020年11月28日

米海軍が日本海で航行の自由作戦を実施

 military.comによれば、米海軍は火曜日、西太平洋上の海事の主張に異議を唱えるため、もう一隻の軍艦を送りました。第7艦隊報道官によれば、今回はロシアが主張する水域です。

 横須賀に拠点を置く誘導ミサイル駆逐艦、USSジョン・S・マケイン(USS John S. McCain)は、ロシアの法外な海事の主張に異議を唱えるために、航行の自由作戦で航行権と自由を日本海のピョトール大帝湾周辺で行使したと、ジョー・ケイリー大尉(Lt. Joe Keiley)は声明の中でいいました。

 1682年から1725年までロシアを統治したピョトール大帝にちなんだ湾は、日本海で最大の湾であり、377,600平方マイル(977,980平方キロ)あります。ソ連は1984年に湾を内水と主張し、湾を囲む隣接する沿岸から106海里(約196キロ)の封鎖線をひきました。

 ソ連崩壊後、ロシアは主張を続け、それは米海軍が「湾の水域を含める海洋法条約を反映する国際法の規則に一致しない」とケイリー大尉はいいました。

 「この閉鎖線を引くことで、U.S.S.R.は国際法で主張する権利があるよりも多くの内水と沿岸から遠くの領海を主張しようとしました」

 「この作戦を行うことで、アメリカはこれらの水域がロシアの領海ではなく、アメリカはピョトール大帝湾が国際法上の歴史的湾だというロシアの主張を黙認しないことを示しました」とケイリー大尉はいいました。

 国営タス通信のウェブサイトによれば、ロシア国防省は、マケインが湾の中で約1.2マイル(1.9km)を横切ったとき、対潜駆逐艦アドミラル・ビノグラドフ(Admiral Vinogradov)が国際通信チャンネルを通じて「立ち去らないなら衝突機動を行って、(マケインを)国の領海から追い出す」と艦を脅かしたといいました。

 タス通信によれば、声明で「警告が出された後、アドミラル・ビノグラドフはコースを変えて、USSジョン・S・マケインは国際水域へ戻った」と国防相はいいました。

 ケイリー大尉はロシアの主張を「虚偽」とよび、「USSジョン・S・マケインはどの国の領海からも追い出されませんでした」とつけ加えました。

 「マケインはこのFONOP(航行の自由作戦)は国際法に従って行い、公海上で通常の活動を行い続けました」とケイリー大尉はいいました。「アメリカはロシア連邦が行ったような、非合法の海事の主張を受け入れるようにする脅しや強制に従うことは決してありません」。

 海軍によれば、航行の自由作戦は領域の主張に異議を唱え、開かれた航行の権利を示すことを目的とします。

 2017年から、第7艦隊は少しずつ航行の自由作戦を増やしています。作戦は概して、南および東シナ海での中国の海事上の主張を狙いとしています。今年、海軍は北京のそこでの主張に異議を唱えるために、争いがある両方の海の諸島の近くに、少なくとも6隻を送っています。

 海軍によれば、火曜日のは、2018年12月以降でピョトール大帝湾のロシアの主張に異議を唱えるアメリカの最初の作戦でした。

 「いくつかの国が1982年の海洋法条約を反映した国際法に合致しない海事上の主張を続け、すべての国が享受する権利と自由を不法に制限すると主張する限り、合衆国はすべての国に保証される海洋の権利と自由を擁護し続けるでしょう」とケイリー大尉は声明の中でいいました。

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 これは「湾」の定義に関する問題です。国際海洋法条約では基本的に海岸線(基線)から12海里(約22km)が領海とされます。その先に接続水域と排他的経済水域があります。基線の位置で、主権が及ぶ領域が変わります。そこで、湾の部分の基線をどうとるのかとなりますが、海岸線をそのまま基線とするのではなく、湾の入口の端から端を直線でつないだのを基線とします。

 しかし、あまりにも巨大な区域を湾に指定されると、公海が狭まり、自由な航行が難しくなるので、入口の距離は24海里(約44km)までと決まっています。24海里以上であっても、歴史的に自国の領海であり、他国もそれを黙認してきた湾は歴史的湾と呼び、内水とできます。ロシアはそれを主張している訳です。

 しかし、他国が反対して紛争となった湾もあります。リビアのシドラ湾では、リビアが領海と主張する公海上で米軍が演習を行い、接近したリビア軍機を撃墜する事件が、1981年と1989年に起きています。

 ピョトール大帝湾でも同じことが起きる危険性はありましたが、ロシアの出方は比較的、控えめでした。衝突機動をやったかどうかは不明ですが、そういう行動をロシアがやった場合は米軍は映像を公開して、非難声明を出します。今回はそれがないので、アドミラル・ビノグラドフはジョン・S・マケインを追跡した程度だった可能性があります。

 シリア内戦では、ロシア軍は米軍を見つけると、陸海空を問わず、危険な接近を繰り返しています。

 ピョトール大帝湾でロシアの出方が違うのは、やはり、ロシアとアメリカは国連理事国であり、過度の対立は避けたいのと、ロシア中央から遠い極東では紛争もやりにくいし、そこまでの価値が認められないためでしょう。本来、湾岸の定義に関わることで対応に差は出ないはずですが、ロシアは功利的に考え、控えめに出ているといえます。

 これはロシアが極東で戦力に自信がないことを反映している可能性もあります。
posted by スパイク通信員 at 06:43| Comment(0) | 日記
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