2020年12月21日

元軍人がすぐに国防長官になれないのはなぜ?

 なぜ元軍人は国防長官になるまでに何年も待たなければならないのか?。military.comがその歴史的背景を解説しました。

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 誰に聞いても、次期大統領のジョー・バイデン(Joe Biden)が国防総省を率いるために選んだ退役陸軍大将ロイド・オースティン(Gen. Lloyd Austin)は、国防長官になるにとてもふさわしい。四つ星の将軍になり、40年間の軍歴のいたるところで成功した男、オースティンは半世紀近くを国に奉仕しつつ、武勇と度胸を示しました。

 しかし皮肉にも、オースティンの長すぎる軍歴は承認プロセスで障害を作っています。法律は国防長官の民間人の役割を握る前に、隊員が少なくとも7年間は制服を脱ぐことを必要条件とします。

 わずか4年前に陸軍を去ったオースティンは、法律上はこの地位に就く資格がありません。議会は彼を承認するために待機期間の適用を控えなければならず、それは1947年以降2回、最も近くでは2017年に行われています。

 オースティンの指名は歴史的出来事です。彼は国防総省の大半が白人男性の指揮階級の拡大に向けたステップとして、この国の軍事組織を率いる最初のアフリカ系アメリカ人となります。

 しかし、オースティンの多彩な軍隊経験が彼の明るい未来に暗い影を落とす事実は、なにより、なぜ7年間の遅延が存在するのかという疑問を投げかけます。

軍隊は民間人が統制するもの

 公式の法的な遅延は第2次世界大戦終了時に遡りますが、そのコンセントはこの国の起源を思い起こさせ、米軍の伝統の中心に横たわります。

 建国者たちは帝国が常備軍を用いるのを自ら経験し、そのために、巨大な軍隊を独裁主義の特質であり、民主主義への切り離せない脅威とみなしました。彼らは将軍の用兵に関する支配力は、国民に直接説明する責任がある公人に常に従属しなければならないと信じました。

 サミュエル・アダムズ(Samuel Adams)は1768年に「軍事力が必要なときですら、国土の中では、賢明で、用心深い国民が軍隊について、注意深く、油断のない目を常に持つだろう」と書きました。1776年に、バージニア権利章典は「あらゆる場合で、軍隊は民間の権力の下に従属し、統治されるべきである」と断言しました。この文書は独立宣言の着想に、後に権利章典のモデルになりました。

 憲法のことになると、建国者たちは、軍隊の規則と予算を設定する権力を与え、大統領に最高指揮官の役割を割り当てることで、明確に軍隊の民間人の統治を規定しました。

 第2次世界大戦の結果として、より大きな自治権が戦いの英雄的な指揮官に与えられるべきだという主張が受け入れられて、議会はアメリカの大衆がますますダグラス・マッカーサー(Douglas MacArthur)のようなカリスマ性のある将軍の魅力の虜になるのを懸念しました。マッカーサーの考えでは、力量を証明した戦士の特権は、戦争を何も知らない民間人によってチェックされるべきではありません。

 議会は同意せず、新しく創設された国防総省を運営する資格に軍当局者のキャリアを制限する待機期間を設けました。在職10年間の間隙は後に7年間に縮められましたが、将軍の階級を受け入れられるレベルへ弱め、国民への影響を軽減します。

 多くの国防長官は退役軍人ですが、チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)のように、キャリアをもつ兵士という訳ではありませんでした。彼はバラク・オバマ大統領(President Barack Obama)のために2013年から2015年まで国防総省を率いる数十年前 、1967年と1968年にベトナム戦争の兵士でした。その他は学者、政治家と1947年に最初に国防長官に指名されたジェームズ・フォレスタル(James Forrestal)のようなビジネスや産業界の指導者でした。彼は政府に加わる前はウォール街で働いていました。

 彼らのリーダーシップの技術と経験は、少なくとも軍隊の中と同じくらい外で磨かれました。

民間社会から切り離された特別な社会

 州陸軍の少佐として、私はキャリアがある軍将校の精神構造に通じています。

 軍の法律家としての約20年間に、私は上級将校が上官に任務を達成できなかったと聞いたことがありません。大佐や将軍の心の中に、統制のとれた兵士のグループ、賢明な戦術と豊富な資金と装備の補給と共に成し遂げられないことは、文字通りありません。

 このなせば成るという態度はキャリアがある将校の精神構造の一部ですが、それは反対意見に対するかなりの程度の不寛容なのです。軍隊の管理の基本的前提は指揮の統一と権威の一本化です。上級将校は典型的に反対の見解や合意形成を少ししか我慢しません。考え方の多様性は褒められず、大多数と異なる視点は歓迎されません。

 最高裁が述べているとおり、「軍隊は、不可避的に、民間社会から切り離された特別な社会である」のです。それは長い歴史の間にそれ自体の法律と伝統を発展してきている機関であり、結局は「法律とは服従のこと」だという組織です。

オースティンは三度目の適用除外を受けられるか?

 ジョージ・マーシャル退役大将(Gen. George Marshall)は1950年に待機期間の最初の適用除外を受けました。マーシャルは指名プロセスの間に率直な意見を述べました。「少尉のときの私は、兵士が軍務長官でない限り、我々は陸軍の中では決して成功しないと考えました。私が少し歳をとり、我が軍の歴史を通じて奉仕すると、私は彼は決して兵士であるべきでないという修正した結論に達しました」。

 朝鮮戦争で米軍を監督するには比類ない資格を持つと考えられたマーシャルは、最後に彼の在職期間は1年間に限定されるとの条件で承認されました。議会は当時、「軍人のその職へのさらなる指名は承認されるべきではない」と述べました。

 2017年にジェームズ・マティス退役大将(Gen. James Mattis)に2番目の適用除外が承認されるには約70年間かかりました。マティスは4年前に海兵隊を去ったばかりだったので、彼の承認はすぐに上院議員、特に民主党議員からの抵抗にあいました。マティスを承認するために渋々投票する中で、上院軍事委員会のロードアイランド州選出の民主党議員、ジャック・リード上院議員(Sen. Jack Reed)は、「法律の適用除外は同世代に1回より多く起きるべきではない」と警告しました。

 オースティンはいま、3番目の適用除外の受取人になる用意ができています。彼は現役を去ってからの民間の思考様式を身につけていると公言しますが、基礎となる根拠、待機期間は相変わらず重要で、問題に直結するままです。

 「陸軍は議論のための組織ではない」と最高裁はかつて述べました。

 この組織のキャリアを持つメンバーへ、アメリカ人の血と富をどう費やすかを決める権限を与えることは、規則ではなく特例であるべきです。

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これはとても参考になる記事です。

アメリカとは真逆の歴史を持つ日本は、かつては侍が政治を司り、明治維新以降も、軍人が政治に口を出してきました。そのため、軍人が政治に関与することに対する抵抗感がアメリカ人よりも弱いのです。これはとても重要です。

 コロナ対応でも、アメリカでは米軍が対応を主導すべきでないという意見が大半です。日本では規模は小さいものの、自衛隊の対応に対する抵抗は聞かれません。

 国を守るべき存在だが、警戒も必要と考えるアメリカと、平和国家といいながら自衛隊を容認する傾向が高まる日本では、軍隊が民間生活に介入する危険性は、日本の方が高いといえます。
posted by スパイク通信員 at 15:25| Comment(0) | 日記
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