2021年09月15日

トランプに関する新著に心から震える

 著名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワード(Bob Woodward)とワシントンポスト紙の記者、ロバート・コスタ(Robert Costa)の新著、「危機(Peril)」によれば、米連邦議事堂に対する1月6日の襲撃の2日後、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の最高軍事顧問、統合参謀本部議長、マーク・ミレー大将(Gen. Mark Milley)は独力で、トランプが危険な軍事攻撃を命じたり、核兵器を発射する可能性を制限するために秘密の行動をとったと、CNNが報じました。

 ウッドワードとコスタは、襲撃にひどく動揺したミレーは、トランプがいま、興奮し、当局者にわめき、際限のない選挙の陰謀論について彼自身の代わりの現実を作り上げ、選挙の結果の中でトランプは深刻な精神的退化に陥ったと確信したと書きました。

 ミレーはトランプが手前勝手に行動するかもしれないと心配した、と著者らは書きました。本によれば、ミレーは上級参謀に「君は大統領の発痛点を知らん」といいました。それに応じて、ミレーは普通ではない行動をとり、1月8日に、核兵器の発射を含めた軍事行動のプロセスを吟味するために、国防総省の彼のオフィスで秘密の会議を招集しました。国防総省の作戦室、国家軍事指揮センター(the National Military Command Center)責任を担う軍高官に向けて話し、ミレーは彼が関与していない何者からの命令を受けると、彼らに指示しました。

 本によれば、「何を言われるかに関係なく、君たちは手順を行え。手順を行うんだ。さらに、私は手順の一部だ」とミレーは将校たちにいいました。彼はそれから、部屋を巡り、それぞれの将校と目を合わせ、言葉で彼らが理解したことを確認したかを尋ねました。

 本によれば、「分かったか?」とミレーは尋ねました。

 「イエス・サー」。

 ミレーはそれを誓いだと考えたと、著者らは書きました。

 「危機」は直接の関係者と目撃者への200以上のインタビューに基づき、トランプの公務の最後の日々を冷ややかに描きます。トランプ政権についてのウッドワードの三冊目の本書は、必死で権力にしがみつこうとして、最高指揮官が顧問と側近に錯乱し、激高し、怒鳴った場面の裏側を詳しく述べます。

 本には1月6日に至る出来事と暴動へのトランプの反応を報じる特ダネ、副大統領、1月5日の大統領執務室でのマイク・ペンス(Mike Pence)との対決について新たに明らかになった詳細を含みます。

 ウッドワードとコスタは書類、カレンダー、日記、電子メール、会議のメモ、反訳とその他の記録を手に入れました。

 本書は再び大統領を目指して立候補したジョー・バイデン(Joe Biden)の決断、在任最初の半年、なぜ彼がアフガニスタン撤退をあんなに推進したか、さらに彼がトランプを本当はどう感じているかも調査します。CNNは9月21日の発売に先立ち、「危機」のコピーを手に入れました。

彼がおかしいのは知ってるでしょ


 ミレーの恐れは、トランプの気まぐれな振る舞いについての彼自身の観察に基づきます。彼の懸念は1月6日の出来事と、米国家安全保障にもたらす極度のリスク、状況によって拡大したと著者らは書きました。ミレーはすでに米国内の混乱を強く警戒する中国の最上級将軍との裏ルートの電話を2度受けていました。本によれば、それから、ミレーは下院議長、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)から単刀直入な電話を受けました。ウッドワードとコスタは、ミレーがペロシに核兵器は安全だと安心させた会話の反訳を独占入手しました。

 ペロシは押し返しました。

 「私があなたに言っているのは、彼らが議事堂を襲撃することで彼を止められもしないなら、他に何か彼がするかもしれないことを誰が知っているのか。ホワイトハウスで、彼の太った尻にキスすること以外で何かをしている責任者がいるのかということです」

 ペロシは続けました。「彼がおかしいのは知ってるでしょ。彼はずっと、おかしいのよ」。

 ウッドワードとコスタによれば、ミレーは「議長、なにもかも同意します」と答えました。

 電話の後、ミレーは行動しなければならないと決断しました。彼は各軍の指揮官に常時、あらゆることを監視しろといいました。国家安全保障局長、ポール・ナカソネ(Paul Nakasone)に電話をかけ、彼に「つつけ…監視、スキャンを続けろ」といいました。。さらに、彼は当時のCIA長官、ジーナ・ハスペル(Gina Haspel)に「積極的にあらゆるもの、360度監視しろ」といいました。

 著者らは「ミレーはアメリカ国民やその他の世界が知らないところで、アメリカの国家安全保障の状態を監視していた」と書きました。

 ウッドワードとコスタは、一部の者はミレーが彼の権限を踏み越え、彼自身のために特別な権威を手にしたと主張するかもしれないが、彼の行動は国際秩序の歴史的な断絶をなくし、中国その他との偶発的な戦争を避け、核兵器の不使用を確実にするための誠実な予防策だったと彼は信じたとも書きました。

狂気に走るトランプ


 トランプが経験から予測できない何かをするかも知れないという恐れは経験に由来しました。トランプが選挙に負けた直後、ミレーは大統領が、彼がホワイトハウスを去る前の2021年1月15日までにアフガニスタンから全軍を撤退させる命令に署名したのを発見しました。この覚え書きは2人のトランプ支持者により密かに起草されていました。国家安全保障チームにそれを知る者はいませんでした。覚え書きは最終的に破棄されましたが、ミレーはトランプが彼の軍事顧問を避けて通ったのを忘れられませんでした。

 ウッドワードとコスタは、1月6日の後、ミレーは軍隊はトランプを制御したり信頼することで絶対的な確信を感じられず、考えもよらないことを考え、ありとあらゆる必要な予防策をとることが軍上級将校としての仕事だと信じたと書きます。

 ミレーはそれを理論的可能性の絶対的に重苦しい瞬間とよんだと著者らは書きました。「危機」は、トランプの在任期間の騒々しい最後の日々を記録した、今年出版されたいくつかの本の一冊です。「I Alone Can Fix It」の中で、ワシントンポスト紙の記者、フィル・ロッカー(Phil Rucker)とキャロル・レオニング(Carol Leonnig)は、彼と彼の側近や彼の同盟者がクーデターを試みる恐れの中、ミレーがトランプからの違法な命令に抵抗するために、統合参謀本部と計画をどう議論したかを詳述しました。

本末転倒


 ウッドワードとコスタは、国家安全保障当局者が、トランプが圧倒的な選挙の敗北から気を逸らすために国内や海外で紛争を引き起こし、本末転倒なことをするかも知れないと心配したと書きます。

 トランプが2020年11月に敗北を認めるのを拒否した時、ハスペルはミレーに警告しました。「我々は右翼のクーデターへの途上にあります。すべてのことが狂気です。彼はかんしゃく持ちの6歳児みたいに振る舞っています」。ハスペルはトランプがイランを攻撃しようとしていることを心配もしていました。

 本によると「これはとても危険な状況です。我々は彼のエゴのために攻撃しようとしているのでしょうか?」と彼女はミレーに尋ねました。

 トランプの最も忠実な顧問の何人かですら、選挙の後に個人的に懸念を表明しました。当時の国務長官、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)はミレーに、トランプがいま非常に暗い場所にいるといいました。

 ミレーには1月20日に平和的な権力移行を確実にするというただ一つの目標がありました。彼がポンペオに「我々には4基のエンジンがある飛行機があり、その3基は故障しています。着陸装置もありません。でも、我々はこの飛行機を着陸させようとしていて、安全に着陸させようとしています」といいました。

我々はバイデンを1月6日に埋葬しようとしている


 「危機」は、選挙の承認をトランプが拒絶した供述の裏側と彼の周辺の人々がどう彼の自暴自棄を抑えようとして、失敗したかを提供します。

 11月4日、選挙の翌日、トランプは個人的に敗北を認める準備があったらしく、顧問のケリーアン・コンウェイ(Kellyanne Conway)に「我々はどうやってジョー・バイデンに負けたのかな?」と尋ねました。しかし、ルデイ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)を含む支持者に電話した後、トランプは誤っていて、有害な不正選挙の陰謀論を受け入れました。

 ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)とイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)は軽く接触しました。クシュナーは側近に、彼は仲裁のためにキーパーソンになりたくないといった、と著者らは書きました。当時の司法長官、ウィリアム・バー(William Barr)は、不正はでっち上げだといって、トランプに言い聞かせようとしました。本によれば「投票機に関する話の問題は、ただのクズだってことです」とバーはいいました。

 「あなたのチームはピエロばかりだ」と彼はトランプにいいました。

 本によれば、大統領として初期の日々のキーパーソン、元ホワイトハウスの顧問、スティーブン・バノン(Steve Bannon)が再浮上しました。著者らは、2020年4月に起訴され、後にトランプにより恩赦を受けたバノンが1月6日につながる出来事において致命的な役割を演じたと書きます。

 11月30日、バノンは議会が選挙結果を認証する日、1月6日のイベントの準備をするため、マー・ア・ラゴ(Mar-a-Lago)からホワイトハウスに戻るようトランプを説得しました。

 本によれば、「今日、ワシントンに戻って、劇的な帰還をしなければならない」とバノンはトランプにいいました。「ペンスをスキー場から呼び出して、今日、彼をここに戻さなければならない。危機が起きている」。

 著者らは、バノンはトランプに1月6日は「報いの瞬間」だといったと書きます。

 「人びとは行動を起こそうとしています。一体、ここで何が起きているんだ?と」とバノンは信じました。「我々は1月6日にバイデンを葬るんだ。彼を葬るんだ」とバノンはいいました。

「これ以上、友人でいたくない」


 「危機」は、トランプがペンスに選挙結果をひっくり返すよう圧力をかけた時の、1月5日の執務室での緊迫した衝突も説明します。対決が内部に行った中で、2人の男は「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」の支援者がペンシルバニア・アベニュー近くの戸外で声援を送り、繰り返し叫ぶのを聞きました。

 「この人たちが君が力を持っているというのに、君は望まないのか?」とトランプは問いました。

 「私は誰であっても、その権限を持つことを望みません」とペンスはいいました。

 ウッドワードとコスタによれば、「しかし、力を持っていれば、格好いいとは思わないか?」とトランプはいいました。

 「いいえ」とペンスはいいました。彼は「私はこれを解決するために、できることは全部やってきました。単純に不可能なんです」と続けました。

 ペンスが態度を変えないので、トランプは彼に敵意を向けました。

 著者らによれば、「違う、違う、違う!」とトランプは叫びました。「君は理解していない、マイク。君にはできるんだ。私は君がこれをしないのなら、これ以上、君の友人でいたくない」。

 トランプは1月6日の朝、再びペンスを呼びました。著者らによれば、「君がそれをしないなら、私は4年前に間違った男を選んだことになる」と、トランプはいいました。「君らは勇気をなくしている」と彼はいいました。彼の怒りは執務室の他の者たちにみえました。

 ペンスは最後にはトランプに立ち向かったとはいえ、「危機」は4年間の忌まわしい忠誠の後で、彼はこの決断に苦悶したことを明らかにします。ウッドワードとコスタは助言を求めて、ジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)の副大統領だったダン・クエール(Dan Quayle)に接触したと書きます。

 繰り返して、ペンスは彼にできることが何かないか尋ねました。

 「マイク、君はこれに関して順応性を持たない。ないんだ。ゼロだ。忘れろ。捨て去れ」とクエールは彼にいいました。

 ペンスはもう一度押しました。

 著者らによれば「あなたは私の立場を知りません」と彼はいいました。

 「君の立場なら知っているさ」とクエールは答えました。「私は法律が何かも知っている。君は議員の話を聞く。それが君がするすべてだ。君には権力はない」。

本当にツイートすべきです


 著者らによれば、トランプはスタッフと娘のイヴァンカ・トランプから繰り返された、1月6日の議事堂の暴徒を止めさせる要請を無視しました。

 一つのエピソードで、ペンスの国家安全保障顧問を務めたキース・ケロッグ退役中将(Gen. Keith Kellogg)は、トランプがテレビで騒乱が展開するのを見ている間、ホワイトハウスで彼と共にいました。

 ケロッグはトランプに行動するよう求めました。

 著者らによれば「本当にツイートすべきです」とケロッグはいいました。「本当に早くツイートして、あそこの群衆を制御するのを助ける必要があります。制御ができていません。彼らはこれを制御できないでしょう。閣下、彼らはこのための準備がありません。一旦、群衆がこのようになれば、あなたはそれを失ってしまいます」。「ああ」とトランプは答えました。著者らは「トランプはまばたきをすると、テレビを見続けた」と書きます。

 イヴァンカ・トランプも繰り返して仲裁しようとして、3回、父親と話しました。本によれば「このことを放置するの?」と彼女は彼にいいました。「放置するの?」。

RAGE 2.0


 ウッドワードのトランプに関する前の本は「怒り(Rage)」と呼ばれましたが、罵りがちりばめられた口論に満ちた「危機」は怒りが一段階あがっています。

 高官たちは著者らに、トランプの憤激は彼らに時々「フルメタル・ジャケット」を、ある時は「博士の異常な愛情」を思い起こさせたといいました。

 2020年6月、ホワイトハウス近くでブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)の抗議が行われたあと、当時の国防長官、マーク・エスパー(Mark Esper)を激しく攻撃しました。彼は記者会見で、抗議に対応するために反乱法を発動するのに反対すると発表したところでした。

 「お前は私の権限を奪った!」とトランプは執務室でエスパーに叫びました。「お前は大統領ではない!。私が大統領なのだ」。

 しかし、本によれば、トランプは収まらず、室内の彼のチームの他の者に目を向けました」。「お前たちは全員カスだ」と彼は叫びました。「みんな、お前たちみんなはカスだ。全員がカスだ!」。

 選挙の結果、トランプの怒りは、次期バイデン政権に言及したバーに向けられました。

 著者らによれば、「バイデン政権の第一弾!」とトランプは叫びました。トランプはひどく怒り、「人類が耳から火を出すことができるなら、これがそうだ」とバーは考えたと、ウッドワードとコスタは書きます。

 この本はトランプが、下院少数党院内総務、ケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)を含め、騒乱に抗議した共和党員に未だに怒っていることも明らかにします。

 本によれば「こいつは、私のベストフレンドになると偽って、私に毎日電話をかけてくる。それから、私を騙す。彼は悪者だ」とトランプはいいました。

 マッカーシーは騒乱の後、最初のコメントを撤回していますが、トランプは彼の好意を取り戻そうとするマッカーシーの試みを撥ね付けるために引き合いに出します.

 著者らによれば「ケビンは私の尻にキスをするために来て、下院を取り戻すために私の助けを望む」とトランプはいいました。

 本はトランプの盟友が2024年の彼の計画について推測して終わります。共和党のリンゼイ・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)は個人的に、「立候補しようと彼が望むなら、彼は彼の個人的な問題に対処する必要がある…我々にはひどくダメージを受けたチームのキャプテンがいる」といったと引用されます。

 しかし、トランプとの直接の会話の中では、グラハムはずっと楽観的でした。

 本によれば「1月6日のお陰で、君は死んだみたいに書かれている。世間の見方では、君の指導力の下での共和党は崩壊した」と、グラハムはトランプにいいました。

 グラハムは続け、トランプに、ホワイトハウスを取り戻すなら、それはアメリカの歴史の中で最大の帰還になるだろうといいました。

 降格させられ、それから2020年9月に選挙から脇へどいたトランプの元選挙参謀、ブラッド・パースケール(Brad Parscale)は7月に質問に答えました。

 「立候補するのですか?」。

 本によると「それについて考えている…私は本当に立候補について真剣に考えているところだ」とトランプはいいました。「彼は軍隊を持っていた。トランプのための軍隊を。彼は復帰を望む」とパースケールは後に他の者たちにいいました。「私は彼がそれを復帰とみているとは思わない。彼はそれを復讐とみている」。

ーーーーーーーーーー

 想像を超えた事態が、トランプ政権の末期に起きていました。ミレー議長がトランプを扱えずにいて、苦労していることは、当時から察していました。しかし、「危機」が明らかにしたのは、それ以上にひどい、恐るべき内容です。アメリカの安全保障が大統領によって脅かされるという、これ以上考えられない危機的状況があったのです。これが陸続きの隣国をもつ小さな国なら、ずる賢い隣国により占領されるか、実質的な支配下に置かれるでしょうが、アメリカという巨大な国だから、ロシアや中国のような敵国があっても、あまり大きな影響を受けずに済んだのです。

 また、中国の将軍がアメリカの内乱を心配していたというのは興味深いことです。中国政府の表立っての声明と、本音にはズレがあるのかもしれませんね。内心は、アメリカに混乱してもらっては困る。間違っても、核ミサイルなんか発射してくれるなというところでしょう。ロシアがどう見ていたのかも気になります。

 ペロシ下院議長がミレー大将に電話したことは、すでに報じられていましたが、その中身が分かったのは初めてです。ペロシ議長の押しで、ミレーが腹を括った訳で、実に適切な対処でした。

 それから、ダン・クエールの名前は久しぶりに聞きました。次期大統領候補でしたが、小学生との会話で、「poteto」の複数形のスペルを間違えて教えるところをテレビで放送されてしまい、大統領になれなかった人ですね。共和党って、どうして知性に問題がある人が多いのか。ペンスの相談相手が、こういう人だったとは。

 トランプがもう一度大統領になろうとする件では、彼がそれを復讐だと考えているというのは不気味です。トランプに関するドキュメンタリー番組の終わりに、オバマがパーティでトランプをネタにしたジョークをいい、それをテーブルに着いているトランプが聞いて、さっさと変える姿が出てきます。ナレーションは、このときにトランプが立候補を決意したのだろうと結びます。オバマへの復讐が立候補の動機なら、2024年の立候補は同じことがまた繰り返されることを意味します。そんなの御免です。
posted by スパイク通信員 at 21:09| Comment(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: