2021年10月08日

韓国軍のトランスジェンダー兵士の除隊処分を裁判所が却下

 読んでいたら涙が出てしまいました。韓国の男性隊員が性転換手術を受けたために除隊させられ、自殺した事件に関する記事です。

【記事】

 military.comによれば、韓国の裁判所は木曜日、軍が不法にこの国で最初のトランスジェンダーの兵士に対して、進行中の性別適合手術を理由に、除隊させることで差別的待遇をしたとの判決を出しました。自宅で彼女が死亡して発見された7ヶ月後に出た画期的判決です。

 活動報告グループは、大田地方裁判所(Daejeon)は性的マイノリティの権利を前進させたが、彼女を除隊させた陸軍に抵抗したビョン・ホイス(Byun Hui-su)のためには裁判が遅すぎたとも説明しました。

 韓国はトランスジェンダーの人が軍に入ることを禁止していますが、軍務にある間に性別適合手術を受けた人たちをどうするかについて特定の法律はありません。

 2等軍曹で戦車の操縦士のビョンは、陸軍が彼女の手術が解雇の理由になると決定した後、2020年1月に除隊させられました。当時、陸軍は身体的、精神的障害をもつ要員を、それらの問題が戦闘や勤務の結果でなかった場合、除隊させる法律を引き合いに出しました。

 性同一性でうつ病にかかった後、性別適合手術を2019年11月にタイ国で受けていたと言ったビョンは、軍務を続けたいという希望を表明しましたが、軍の委員会は彼女の訴えを却下しました。2020年8月、彼女は軍に対して訴訟を起こし、彼女が今年3月に大田広域市の中心の市で、自宅で亡くなって発見された後、彼女の親族は訴訟を引き継ぎました。

 大田裁判所は、ビョンを除隊させる陸軍の決定は、彼女が男性だったという断定が根拠であるため合法にできないといいました。法廷は、陸軍は彼女を除隊させると決める前に、ビョンが清州地方裁判所に女性として法的身分を変更する届けを出していたことを、すでに知っていたことを指摘しました。彼女が除隊させられた数週間後に、清州裁判所はビョンの請願を許可しました。

 「ビョン・ホイスの件が軍法に定義されるように身体的・精神的障害として解釈されるかどうかを決定する中で、決定は(ビョンが)性転換の後、女性であったという前提に基づくべきであったことは明白です」と大田裁判所は判決申し渡しでいいました。

 「従って、ビョン・ホイスが(彼女の男性器を)喪失したことが身体的・精神的障害だと決定した(陸軍の)決定は、ビョン・ホイスが性転換の後も男性であるとの前提に基づいているもので、疑う余地なく非合法であり、棄却されるべきである」と判決文は述べました。

 ビョンの苦境は、トランスジェンダーの人びととその他の性的マイノリティが頻繁にハラスメント、虐待と差別的待遇に直面し、多数の人がうつ病を戦っている非常に保守的な国の神経を逆なでしました。

 「the Center for Military Human Rights Korea」を含む人権団体の連盟は、判決は性的マイノリティに希望を与え、軍は上訴しないよう求める声明を出しました。

 「ビョン・ホイス2等軍曹は勝訴した今、明るく笑い、同僚の元に戻ったに違いありません。しかし、彼女はすでにこの世にいません」と声明はいいました。「今日の判決は司法の勝利ですが、司法の遅れの痛みを伴う教訓でもあります」。

 記者に送ったテキストのメッセージで、陸軍は裁判所の判決を尊重し、どう対応するかについて包括的な議論を行うといいました。陸軍は上訴するかどうか決めていないといいました。

 ビョンが亡くなった時、国防部長官は弔意を表明しましたが、軍はトランスジェンダーの人びとが軍務につくことを認めるかについて現在は議論をしていないといいました。(翻訳は私が作成しました。意訳が含まれていることがあります)

【私見】

 バイデン大統領は就任直後に、ドナルド・トランプが決めたトランスジェンダーの人が軍務につくために設けた制限を撤廃しましたが、韓国軍はそうではありません。トランスジェンダーの人は軍務につくことができません。

 オバマ大統領は、同性愛者が軍務につけるよう軍法を改正しました。米軍は引き続いてトランスジェンダーの人が軍務につけるよう軍法を変えようとしました。トランプが反対し、トランスジェンダーの入隊には高い障壁が設けられてしまいました。バイデンは選挙公約に、この制限の撤廃を含め、国防長官が指名されると、直ちに実行しました。

 アメリカの軍人向け新聞は韓国軍のことも報じますが、米軍との合同演習の報道が中心で、これほど長い記事は滅多にありません。これは、米軍内で性的マイノリティーの問題への対処が進行中なので、関心が高いことを示しています。記事には「自殺」という言葉が見当たりません。本人の人権に最大限配慮した書き方です。

 トランスジェンダーを認めない韓国軍は、直ちにこの分野での協議を始め、性的マイノリティに配慮した制度を確立して欲しいものです。もっとも、自衛隊はこの問題にまったく対処していないので、他国のことをいうべきではありませんね。

 軍隊は男性中心の社会で、性的マイノリティーについて語ることすら嫌がる傾向があります。世の中には男と女しかおらず、そうでない者はいないという考えが蔓延しています。これを排除しないと、この問題は解決しません。

 この問題は純粋に医療的に捉えられるべきです。ビョン・ホイス2等軍曹は、軍を提訴したものの、それが原因でうつ病を再発させた可能性があります。訴訟のような行動は心理的にはストレスになることがあります。一度、性同一障害でうつ病を経験しているビョン軍曹が再びうつ病になる可能性は低くありません。最初のうつ病の段階で軍の医療部隊が対処するようにしなければなりません。米軍は必要なら軍の健康保険を使って、カウンセリングだけでなく性転換手術も受けられるようにしています。

 こうした改革には政治家の理解が不可欠です。しかし、日本の与党はこの面でも立ち後れていますから、日本で改善が見られるのは、多分、ずっと先の話でしょう。これは本当に苛々させられることです。
posted by スパイク通信員 at 17:00| Comment(0) | 日記
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