2021年11月29日

ロシアはウクライナに侵攻するか?

ウクライナで高まる軍事的緊張について関心が集まっていますが、参考になる記事がmilitary.comに載りました。
ーーーーーー
【記事】
 ウクライナと西欧当局は、ウクライナ付近で増強されるロシア軍が元ソ連の隣国を侵略する計画を示唆する可能性を懸念しています。
 ロシア軍の集中が差し迫った攻撃の前兆であるかや、ウクライナに兵士と武器を送るのを慎むようアメリカとNATOの同盟国を説得して、最終的にNATOに統合する計画を断念させるロシアのウラジーミル・プーチン大統領(President Vladimir Putin)による試みを表すかは明らかではありません。
 現在の緊張を概観しましょう。
ロシア=ウクライナ関係の膠着の起源とは
 ロシアは2014年に、この国の親モスクワの大統領が集団抗議行動で権力の座を追われた後、ウクライナのクリミア半島を併合しました。数週間後、ロシアはウクライナ東部に出現した分離主義者の武装勢力に加担しました。ウクライナと西欧はロシアが反乱を支援するために兵士と武器を送っていると非難しました。モスクワはそれを否定し、分離主義者に参加したロシア人は志願した者たちだとした。
 14,000人以上の人々が、ドンバス(Donbas)として知られるウクライナ東部工業地帯での戦いで死んでいます。
 フランスとドイツが仲介した 2015年の和平合意は大規模な戦いを終わらせましたが、政治的決着に至る努力は失敗し、散発的な小競り合いが張り詰めた境界線に沿って続いています。
 今年早くに、東部で停戦違反が多発し、ウクライナ周辺のロシア兵の集中が戦争の恐れを煽りましたが、4月に軍事演習の後、大軍を引き揚げて緊張は弱まりました。
最新のロシア軍の増強
 ウクライナは今月、モスクワが秋のロシア西部での大規模な演習に引き続き、約90,000人の兵士を2カ国の国境から遠くない場所に置いたままだと不満を述べました。
 ウクライナ国防省らロシアの第41軍の部隊が、ウクライナ国境の北、約260キロの町、エリニャ(Yelnya)に残っているといいました。
 ウクライナ軍参謀総長、バレリー・ザルゾニー中将(Lt. Gen. Valeriy Zaluzhny)は、ロシアは約2,100人の軍要員も反乱軍が支配する東部にもち、ロシア人将校が分離主義者の部隊のすべての指揮する立場にいるといいました。モスクワは繰り返し、ウクライナ東部に自軍部隊が駐留することを否定しています。
 ウクライナ軍情報部長、キュリュロ・ブダノフ(Kyrylo Budanov)は、Military Timesとの週末インタビューで、1月の後半から2月のはじめにモスクワはロシアの同盟国のベラルーシを含めたいくつかの方向から攻撃を準備しているところだと主張しました。
 ロシアは自国領域への派遣は誰にも懸念はないといい、兵数と位置についてまったく詳細を提供していません。
モスクワの狙い
 クレムリンはウクライナを2015年の和平合意を守らないと非難し、西欧をウクライナの合意遵守を促進しないと批判しています。和平合意はモスクワにとって外交上の大きな成果で、反乱側の地域に広範な自治を認め、反乱側に全面的な恩赦を与えました。
 逆に、ウクライナはロシアが支援する分離主義者による停戦違反と反乱の東部におけるロシア軍の駐留の継続を指摘しています。クレムリンは非難を否定しています。
 非難応酬の中でロシアは、ウクライナが2015年の合意遵守を拒絶しているのを考慮すると役に立たないといい、ウクライナ、フランスとドイツとの4カ国会議を拒否しています。
 モスクワは、ウクライナへ武器を提供し、合同演習を行っていることでアメリカとNATO同盟国を強く批判し、ウクライナ人のタカ派に武力で反乱側が占領する地域を取り戻すことを奨励しています。
 今年早くに、プーチンは不気味な口調で、反乱側の東部を取り戻すウクライナの軍事的試みはウクライナの国家の地位に重大な結果となるといいました。
 ロシアの指導者はロシアとウクライナは一つの民族だと繰り返し断言し、ウクライナの領域の大半は歴史的にロシアの一部で、ソ連の共産主義の指導者たちにより専制的に与えられたと主張しています。
 プーチンはNATOへ参加するウクライナの野心はモスクワにとって越えてはならない一線を示すと特に強調し、一部NATOメンバーによるウクライナで軍事訓練を設定しようとする計画に懸念も表明しています。彼は、ウクライナがNATOに参加しなくても、それはそこに軍事的足場を与えるだろうといいました。
 「彼らは訓練センターに見せかけて、そこに何でも置くかもしれない」とプーチンは先月いいました。「NATOの正式なメンバーには決してならないだろうが、領域の軍事派遣はすでに進行中だ」。
ロシアによる侵攻の脅威は本物か?
 ロシアは侵攻計画の話を、西欧の汚いキャンペーンだとして否定し、この主張は東部で攻撃するウクライナの意図を覆い隠すだろうと主張しました。ウクライナはそのような計画を否定します。
 米当局はモスクワの意図が不明確であると認めましたが、懸念の理由としてロシアの過去の行動をあげました。
 今月、ウクライナの外務大臣と話をしたアントニー・ブリンケン国務長官(Secretary of State Antony Blinken)は、プーチンの脚本は国境付近で部隊を増強してから、(ロシアが)挑発されたと虚偽の主張をして侵略することだといいました。
 一部のオブザーバーは兵力増強を、NATOにモスクワの越えられない一線を尊重するよう納得させ、ウクライナへ兵士と武器を送ることを止めさせるために賭け金をつり上げる準備をしているというプーチンのデモンストレーションと解釈します。
 先週、プーチンはモスクワの警告は最終的に弾みがつき、西欧に一定のストレスを生んでいると満足げに指摘しました。彼は「我々が望まない我が西部国境での何らかの紛争が行われないように、できるだけ彼らをこの状態で保つ必要がある」とつけ加えました。
 彼は「ロシアはこんな風に進み続けることはできないから、明日、何が起こるかを常に考え、この地域の安全保障を確実にする真剣な長期保証を得ようと努力せよ」ロシアの外交官に促しました。(翻訳は私が作成しました.一部、意訳があります)
https://www.military.com/.../russia-going-invade-ukraine...
ーーーーー
【私見】
 ロシアによるウクライナ侵攻があると考える人たちもいますが、現在の状況をみると、これはこの記事の指摘が的確だと感じています。
 ウクライナはロシアと北から順番にベラルーシ、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、モルドバ、ルーマニアと接しています。黒海の向こうにはトルコ、ジョージアもあります。ロシアが心配するのは、この広大なウクライナには防御に適した地形が乏しいことです。森林が少なくて平坦であるため、一度、機動部隊が侵攻すると、防御が困難です。なので、ウクライナがNATO に加盟することは、いつNATO軍が侵攻してくるかもしれないと思えるので、自分の横腹に短刀を突きつけられたも同然なのです。もちろん、NATO軍がそういう行動に出ることはありませんが、ナポレオンとヒトラーに攻められたことがあるロシアは、今でも疑い深いのです。
 だから、ウクライナが独立した後も、この地域にロシアは神経質です。できれば自国領にしておきたいくらいに。しかし、国連常任理事国でもあるロシアは自分から攻撃を始めることができません。そこで、今回のような行動に出て、軍事的緊張を保とうとしている訳です。
 なので、全面的な軍事侵攻はありません。しかし、ウクライナ国内に介入して、内側からウクライナをロシアになびくように仕向ける工作はしている可能性があります。これなら、国連常任理事国の体面に傷をつけることはありません。なにより、プーチンの言葉「ロシアはこんな風に進み続けることはできない」は、ロシアの本音を言い表しています。どの国も大戦争を気楽に仕掛けられるような体力はありません。使ってしまえば、武器は壊れて残骸になります。もはや、役立たずの残骸に価値はありません。そういう損失を避けながら、政治的目的を達成しようとするのが、現代の安全保障政策なのです。
posted by スパイク通信員 at 15:00| Comment(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: