アメリカの軍事誌「military.com」が、米連邦議会での米軍高官の証言について報じました。以下に、私の訳文を掲載し、その後に、私の意見を掲載します。翻訳は部分的に意訳することがあります。原文を読みたい方はリンク先にアクセスしてください。
【記事】
https://www.military.com/daily-news/2021/09/29/us-general-afghan-collapse-rooted-2020-deal-taliban.html
国防総省高官は水曜日、8月にアフガン政府と政府軍が崩壊したのは、米兵の完全撤退を約束した、2020年のタリバンと米の合意に遡るといいました。
中央軍指揮官、ケネス・マッケンジー大将(Gen. Kenneth McKenzie)は下院軍事委員会に、9月までに完全撤退するという4月のジョー・バイデン大統領の決定もあって、米兵駐留を2,500人未満にしたことが、アメリカが支援するアフガン政府の崩壊を加速させたといいました。
「ドーハ合意の署名は、なによりも心理的にひどく有害な効果をアフガニスタン政府とその軍隊に与えましたが、我々はいつ我々が去ろうとしているのかと、いつ彼らがすべての支援が終わると予期するのかについて、明確な日付を設定しました」とマッケンジーはいいました。
彼はトランプ政権がドーハでタリバンと共に署名した 、アメリカが2021年5月までに兵士を完全に引き揚げることを約束し、タリバンがアメリカとその同盟国の軍隊を攻撃することを止めることを含めたいくつかの条件を約束した 、2020年2月29日の合意に言及しました。表明した目的は、タリバンとの平和的交渉を促進することでしたが、外交的効果はバイデンが1月に大統領になる前、まったく勢いを増しませんでした。
マッケンジー大将は、彼も長い間、アメリカがアフガニスタンで軍事顧問を2,500人未満に引き下げたら、カブール政府は必然的に崩壊し、軍隊もそれに続くと考えたといいました。彼はさらに、ドーハ合意の士気消耗効果について述べ、4月のバイデン大統領が命令した兵士削減は、我々の顧問が部隊と共にいないので、米軍にアフガン軍の内部の状況を分からなくさせるため、 20年間の戦争の努力にとって、もう一つのとどめとなったといいました。
ロイド・オースティン国防長官(Defense Secretary Lloyd Austin)はマッケンジーと共に証言し、彼はマッケンジーの分析に同意するといいました。彼は、ドーハ合意はアメリカがタリバンを空爆することも止めると約束したともつけ加えました。「このため、タリバンをはより強くなり、彼らはアフガン軍への攻撃作戦を増やし、週単位で多くの人々を失いました」。
共和党議員がバイデン大統領がアフガニスタンについて間違っていたように描こうとして、民主党議員が彼らがトランプ時代の無分別な決定と呼ぶものを指摘しようとして、水曜日の公聴会は政治的に非難されました
統合参謀本部議長、マーク・ミレー大将(Gen. Mark Milley)は前日に上院の同様の公聴会で、アフガニスタンでの戦争は戦略的な誤りだと言っていて、水曜日に繰り返しました。
ミレー大将は火曜日に質問され、上院委員会に、彼の個人的意見では、カブール政府の崩壊とタリバンの統治への回帰を防ぐために少なくとも2,500人の米兵が必要だったといいました。
米情報評価を無視して、アフガン政府と、そのアメリカが訓練した軍隊は8月中旬に崩壊し、1996年から2001年にこの国を統治したタリバンがカブールを占領することを許しました。それをミレーは、オートバイに乗った200人が、発砲することなしにと説明しました。それはアメリカの民間人、アフガンの同盟者などをカブール空港から救出する、取り乱したアメリカの活動を引き起こしました。
今週、下院と上院の公聴会は、戦争とそれに費やされた何千億ドルの税金に対する議会の監視が何年も限定的だった後、アフガニスタンにおけるアメリカの失敗の議会評価を延長することの始まりのようでした。
「共和党議員のアフガニスタンへの突然の関心は、古くさい政策にあります」と、アメリカの関与を終わらせるバイデンの決断を支持する、マサチューセッツ州の民主党議員、エリザベス・ウォーレン上院議員(Sen. Elizabeth Warren)はいいました。
共和党議員がバイデンを軍将校からの助言を無視したように描こうとして、彼が春と夏に示した軍隊の選択肢を事実誤認したため、火曜日の公聴会は時たま議論になりました。
2,461人のアメリカ人の命を奪った戦争の率直な評価において、ミレー大将は、この結果は何年間も進攻していたものだといいました。
「このような戦争の結果は、戦略的失敗である結果です。敵はカブールで統治しています。他に表現はありません。20年間の積み重なった効果です」と、彼は火曜日にいい、米軍がアフガン軍を米軍のように見えるようにしようとする間違った活動の中で、アフガン人を過度にアメリカ人の技術への依存させたかどうかを含め、教訓が学ばれる必要があるとつけ加えました。
共和党のトム・コットン上院議員はミレー大将に、なぜ彼の助言が却下された後に辞職しなかったのかを尋ねました。
ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)によって統合参謀本部議長に指名され、バイデンに慰留されたたミレー大将は、最高指揮官に最善の助言を与えるのが自分の責任だといいました。
「大統領はその助言に同意する必要はありません」とミレーはいいました。「彼は、我々が将軍だからといってそういう決定をする必要はありません。自分の助言が受け入れられなかっただけで将校が辞職するのは、信じられないような政治的反抗行為です」。
ミレーは、次の12ヶ月から36ヶ月で、アルカイダやイスラム国のグループのアフガニスタンでの関連団体が、タリバン統治のアフガニスタンで再構成し、アメリカに脅威を及ぼすテロリストを示す「強い現実の可能性」に言及しました。
ーーーーーーーーーー
【論説】
これは単に、元大統領のトランプに責任を押しつけようとすることが目的ではなく、長年にわたり、米軍高官が抱いてきた見解が、ようやく語れる時期が来たということです。
トランプが自分の外交成果にしようとして、アフガンからの撤退を決めたことは知られています。アフガンだけでなく、韓国やドイツに米軍がいることも疑問視するトランプは、何か理由をつけては、米軍を本国に戻したがっていました。なぜ、外国に部隊を置いて、そのために国家予算を費やすのか、トランプは理解できずにいました。経営者時代からそうですが、トランプは自分が損をすることが我慢できないのです。
トランプがアフガン撤退の流れを作ってしまい、政治的にそれを覆すことは失点になるバイデンがそれを促進したため、アフガン政府と軍の中に、恐怖の連鎖が起きたと考えられます。こういう空気の変化は、報道には表れないから、日本ではつかみにくい。私は、アメリカがその辺はうまくやっているのだろうと思っていましたが、膨れ上がった恐怖は止められず、短時間に政府が崩壊したのでしょう。
ミレー大将がいう「オートバイに乗った200人が、発砲することなしに」という説明は、軍隊や警察がカブールから逃げ出したことを意味します。日本人には理解しにくいことですが、国によっては、上司が人事異動するだけで動揺するようです。日本で働く外国人労働者が、会社の上司が定期の異動で変わると聞いて、強い不安を抱いたという話を聞いたことがあります。彼の祖国では、それは普通の出来事ではないようです。似たような動揺がアフガニスタンでも起きた可能性があります。
アルカイダやイスラム国がアフガンで再結成するかは、いまの段階では、私には疑問です。ミレー大将はそれを裏づける情報を持っているのかもしれませんが、タリバンにとって、他のテロ組織はアフガンに必要がありません。部分的な協力関係はあっても、共存するかは疑問です。
また、日本では、タリバン統治のアフガニスタンは、中国とのつながりを深めると、例によって中国脅威論から来る主張が流れていますが、私はこれには懐疑的です。ロシアはアフガンから麻薬が入ってくることを警戒しています。そのロシアと中国はアフガン国境付近で合同演習を行い、タリバンの影響を防ごうとしています。中国の要人がアフガンを訪問するなど、外交上の動きはありますが、それくらいは普通に起こるものです。タリバンは中国の支援を受けるかもしれませんが、なによりも、自分たちが国をしっかりと統治していることを示さないことには、アフガン国民の協力も得られません。いくらタリバンでも、自分たちが国家となって、どこまでやれるのかは、自ら実証する必要があります。今後、数十年間はそういう活動に奔走することになるでしょう。そして、国を治める能力がないと実証された時には、また、新しい政変が起きるのかもしれません。それは誰にも予測できないことです。
中国とタリバンが結束したところで、日本に直接的な影響はありません。単に、中国を警戒する心理から脅威が増幅しているだけです。それはアフリカ諸国に中国が突き刺さっていることから来る警戒感です。しかし、アフリカと違い、アフガンには資源らしいものがありません。警戒しても、大した意味はないということになります。
2021年09月30日
アフガン戦略について米軍高官が証言
posted by スパイク通信員 at 16:56| Comment(0)
| 日記
2021年09月15日
トランプに関する新著に心から震える
著名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワード(Bob Woodward)とワシントンポスト紙の記者、ロバート・コスタ(Robert Costa)の新著、「危機(Peril)」によれば、米連邦議事堂に対する1月6日の襲撃の2日後、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の最高軍事顧問、統合参謀本部議長、マーク・ミレー大将(Gen. Mark Milley)は独力で、トランプが危険な軍事攻撃を命じたり、核兵器を発射する可能性を制限するために秘密の行動をとったと、CNNが報じました。
ウッドワードとコスタは、襲撃にひどく動揺したミレーは、トランプがいま、興奮し、当局者にわめき、際限のない選挙の陰謀論について彼自身の代わりの現実を作り上げ、選挙の結果の中でトランプは深刻な精神的退化に陥ったと確信したと書きました。
ミレーはトランプが手前勝手に行動するかもしれないと心配した、と著者らは書きました。本によれば、ミレーは上級参謀に「君は大統領の発痛点を知らん」といいました。それに応じて、ミレーは普通ではない行動をとり、1月8日に、核兵器の発射を含めた軍事行動のプロセスを吟味するために、国防総省の彼のオフィスで秘密の会議を招集しました。国防総省の作戦室、国家軍事指揮センター(the National Military Command Center)責任を担う軍高官に向けて話し、ミレーは彼が関与していない何者からの命令を受けると、彼らに指示しました。
本によれば、「何を言われるかに関係なく、君たちは手順を行え。手順を行うんだ。さらに、私は手順の一部だ」とミレーは将校たちにいいました。彼はそれから、部屋を巡り、それぞれの将校と目を合わせ、言葉で彼らが理解したことを確認したかを尋ねました。
本によれば、「分かったか?」とミレーは尋ねました。
「イエス・サー」。
ミレーはそれを誓いだと考えたと、著者らは書きました。
「危機」は直接の関係者と目撃者への200以上のインタビューに基づき、トランプの公務の最後の日々を冷ややかに描きます。トランプ政権についてのウッドワードの三冊目の本書は、必死で権力にしがみつこうとして、最高指揮官が顧問と側近に錯乱し、激高し、怒鳴った場面の裏側を詳しく述べます。
本には1月6日に至る出来事と暴動へのトランプの反応を報じる特ダネ、副大統領、1月5日の大統領執務室でのマイク・ペンス(Mike Pence)との対決について新たに明らかになった詳細を含みます。
ウッドワードとコスタは書類、カレンダー、日記、電子メール、会議のメモ、反訳とその他の記録を手に入れました。
本書は再び大統領を目指して立候補したジョー・バイデン(Joe Biden)の決断、在任最初の半年、なぜ彼がアフガニスタン撤退をあんなに推進したか、さらに彼がトランプを本当はどう感じているかも調査します。CNNは9月21日の発売に先立ち、「危機」のコピーを手に入れました。
ミレーの恐れは、トランプの気まぐれな振る舞いについての彼自身の観察に基づきます。彼の懸念は1月6日の出来事と、米国家安全保障にもたらす極度のリスク、状況によって拡大したと著者らは書きました。ミレーはすでに米国内の混乱を強く警戒する中国の最上級将軍との裏ルートの電話を2度受けていました。本によれば、それから、ミレーは下院議長、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)から単刀直入な電話を受けました。ウッドワードとコスタは、ミレーがペロシに核兵器は安全だと安心させた会話の反訳を独占入手しました。
ペロシは押し返しました。
「私があなたに言っているのは、彼らが議事堂を襲撃することで彼を止められもしないなら、他に何か彼がするかもしれないことを誰が知っているのか。ホワイトハウスで、彼の太った尻にキスすること以外で何かをしている責任者がいるのかということです」
ペロシは続けました。「彼がおかしいのは知ってるでしょ。彼はずっと、おかしいのよ」。
ウッドワードとコスタによれば、ミレーは「議長、なにもかも同意します」と答えました。
電話の後、ミレーは行動しなければならないと決断しました。彼は各軍の指揮官に常時、あらゆることを監視しろといいました。国家安全保障局長、ポール・ナカソネ(Paul Nakasone)に電話をかけ、彼に「つつけ…監視、スキャンを続けろ」といいました。。さらに、彼は当時のCIA長官、ジーナ・ハスペル(Gina Haspel)に「積極的にあらゆるもの、360度監視しろ」といいました。
著者らは「ミレーはアメリカ国民やその他の世界が知らないところで、アメリカの国家安全保障の状態を監視していた」と書きました。
ウッドワードとコスタは、一部の者はミレーが彼の権限を踏み越え、彼自身のために特別な権威を手にしたと主張するかもしれないが、彼の行動は国際秩序の歴史的な断絶をなくし、中国その他との偶発的な戦争を避け、核兵器の不使用を確実にするための誠実な予防策だったと彼は信じたとも書きました。
トランプが経験から予測できない何かをするかも知れないという恐れは経験に由来しました。トランプが選挙に負けた直後、ミレーは大統領が、彼がホワイトハウスを去る前の2021年1月15日までにアフガニスタンから全軍を撤退させる命令に署名したのを発見しました。この覚え書きは2人のトランプ支持者により密かに起草されていました。国家安全保障チームにそれを知る者はいませんでした。覚え書きは最終的に破棄されましたが、ミレーはトランプが彼の軍事顧問を避けて通ったのを忘れられませんでした。
ウッドワードとコスタは、1月6日の後、ミレーは軍隊はトランプを制御したり信頼することで絶対的な確信を感じられず、考えもよらないことを考え、ありとあらゆる必要な予防策をとることが軍上級将校としての仕事だと信じたと書きます。
ミレーはそれを理論的可能性の絶対的に重苦しい瞬間とよんだと著者らは書きました。「危機」は、トランプの在任期間の騒々しい最後の日々を記録した、今年出版されたいくつかの本の一冊です。「I Alone Can Fix It」の中で、ワシントンポスト紙の記者、フィル・ロッカー(Phil Rucker)とキャロル・レオニング(Carol Leonnig)は、彼と彼の側近や彼の同盟者がクーデターを試みる恐れの中、ミレーがトランプからの違法な命令に抵抗するために、統合参謀本部と計画をどう議論したかを詳述しました。
ウッドワードとコスタは、国家安全保障当局者が、トランプが圧倒的な選挙の敗北から気を逸らすために国内や海外で紛争を引き起こし、本末転倒なことをするかも知れないと心配したと書きます。
トランプが2020年11月に敗北を認めるのを拒否した時、ハスペルはミレーに警告しました。「我々は右翼のクーデターへの途上にあります。すべてのことが狂気です。彼はかんしゃく持ちの6歳児みたいに振る舞っています」。ハスペルはトランプがイランを攻撃しようとしていることを心配もしていました。
本によると「これはとても危険な状況です。我々は彼のエゴのために攻撃しようとしているのでしょうか?」と彼女はミレーに尋ねました。
トランプの最も忠実な顧問の何人かですら、選挙の後に個人的に懸念を表明しました。当時の国務長官、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)はミレーに、トランプがいま非常に暗い場所にいるといいました。
ミレーには1月20日に平和的な権力移行を確実にするというただ一つの目標がありました。彼がポンペオに「我々には4基のエンジンがある飛行機があり、その3基は故障しています。着陸装置もありません。でも、我々はこの飛行機を着陸させようとしていて、安全に着陸させようとしています」といいました。
「危機」は、選挙の承認をトランプが拒絶した供述の裏側と彼の周辺の人々がどう彼の自暴自棄を抑えようとして、失敗したかを提供します。
11月4日、選挙の翌日、トランプは個人的に敗北を認める準備があったらしく、顧問のケリーアン・コンウェイ(Kellyanne Conway)に「我々はどうやってジョー・バイデンに負けたのかな?」と尋ねました。しかし、ルデイ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)を含む支持者に電話した後、トランプは誤っていて、有害な不正選挙の陰謀論を受け入れました。
ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)とイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)は軽く接触しました。クシュナーは側近に、彼は仲裁のためにキーパーソンになりたくないといった、と著者らは書きました。当時の司法長官、ウィリアム・バー(William Barr)は、不正はでっち上げだといって、トランプに言い聞かせようとしました。本によれば「投票機に関する話の問題は、ただのクズだってことです」とバーはいいました。
「あなたのチームはピエロばかりだ」と彼はトランプにいいました。
本によれば、大統領として初期の日々のキーパーソン、元ホワイトハウスの顧問、スティーブン・バノン(Steve Bannon)が再浮上しました。著者らは、2020年4月に起訴され、後にトランプにより恩赦を受けたバノンが1月6日につながる出来事において致命的な役割を演じたと書きます。
11月30日、バノンは議会が選挙結果を認証する日、1月6日のイベントの準備をするため、マー・ア・ラゴ(Mar-a-Lago)からホワイトハウスに戻るようトランプを説得しました。
本によれば、「今日、ワシントンに戻って、劇的な帰還をしなければならない」とバノンはトランプにいいました。「ペンスをスキー場から呼び出して、今日、彼をここに戻さなければならない。危機が起きている」。
著者らは、バノンはトランプに1月6日は「報いの瞬間」だといったと書きます。
「人びとは行動を起こそうとしています。一体、ここで何が起きているんだ?と」とバノンは信じました。「我々は1月6日にバイデンを葬るんだ。彼を葬るんだ」とバノンはいいました。
「危機」は、トランプがペンスに選挙結果をひっくり返すよう圧力をかけた時の、1月5日の執務室での緊迫した衝突も説明します。対決が内部に行った中で、2人の男は「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」の支援者がペンシルバニア・アベニュー近くの戸外で声援を送り、繰り返し叫ぶのを聞きました。
「この人たちが君が力を持っているというのに、君は望まないのか?」とトランプは問いました。
「私は誰であっても、その権限を持つことを望みません」とペンスはいいました。
ウッドワードとコスタによれば、「しかし、力を持っていれば、格好いいとは思わないか?」とトランプはいいました。
「いいえ」とペンスはいいました。彼は「私はこれを解決するために、できることは全部やってきました。単純に不可能なんです」と続けました。
ペンスが態度を変えないので、トランプは彼に敵意を向けました。
著者らによれば、「違う、違う、違う!」とトランプは叫びました。「君は理解していない、マイク。君にはできるんだ。私は君がこれをしないのなら、これ以上、君の友人でいたくない」。
トランプは1月6日の朝、再びペンスを呼びました。著者らによれば、「君がそれをしないなら、私は4年前に間違った男を選んだことになる」と、トランプはいいました。「君らは勇気をなくしている」と彼はいいました。彼の怒りは執務室の他の者たちにみえました。
ペンスは最後にはトランプに立ち向かったとはいえ、「危機」は4年間の忌まわしい忠誠の後で、彼はこの決断に苦悶したことを明らかにします。ウッドワードとコスタは助言を求めて、ジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)の副大統領だったダン・クエール(Dan Quayle)に接触したと書きます。
繰り返して、ペンスは彼にできることが何かないか尋ねました。
「マイク、君はこれに関して順応性を持たない。ないんだ。ゼロだ。忘れろ。捨て去れ」とクエールは彼にいいました。
ペンスはもう一度押しました。
著者らによれば「あなたは私の立場を知りません」と彼はいいました。
「君の立場なら知っているさ」とクエールは答えました。「私は法律が何かも知っている。君は議員の話を聞く。それが君がするすべてだ。君には権力はない」。
著者らによれば、トランプはスタッフと娘のイヴァンカ・トランプから繰り返された、1月6日の議事堂の暴徒を止めさせる要請を無視しました。
一つのエピソードで、ペンスの国家安全保障顧問を務めたキース・ケロッグ退役中将(Gen. Keith Kellogg)は、トランプがテレビで騒乱が展開するのを見ている間、ホワイトハウスで彼と共にいました。
ケロッグはトランプに行動するよう求めました。
著者らによれば「本当にツイートすべきです」とケロッグはいいました。「本当に早くツイートして、あそこの群衆を制御するのを助ける必要があります。制御ができていません。彼らはこれを制御できないでしょう。閣下、彼らはこのための準備がありません。一旦、群衆がこのようになれば、あなたはそれを失ってしまいます」。「ああ」とトランプは答えました。著者らは「トランプはまばたきをすると、テレビを見続けた」と書きます。
イヴァンカ・トランプも繰り返して仲裁しようとして、3回、父親と話しました。本によれば「このことを放置するの?」と彼女は彼にいいました。「放置するの?」。
ウッドワードのトランプに関する前の本は「怒り(Rage)」と呼ばれましたが、罵りがちりばめられた口論に満ちた「危機」は怒りが一段階あがっています。
高官たちは著者らに、トランプの憤激は彼らに時々「フルメタル・ジャケット」を、ある時は「博士の異常な愛情」を思い起こさせたといいました。
2020年6月、ホワイトハウス近くでブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)の抗議が行われたあと、当時の国防長官、マーク・エスパー(Mark Esper)を激しく攻撃しました。彼は記者会見で、抗議に対応するために反乱法を発動するのに反対すると発表したところでした。
「お前は私の権限を奪った!」とトランプは執務室でエスパーに叫びました。「お前は大統領ではない!。私が大統領なのだ」。
しかし、本によれば、トランプは収まらず、室内の彼のチームの他の者に目を向けました」。「お前たちは全員カスだ」と彼は叫びました。「みんな、お前たちみんなはカスだ。全員がカスだ!」。
選挙の結果、トランプの怒りは、次期バイデン政権に言及したバーに向けられました。
著者らによれば、「バイデン政権の第一弾!」とトランプは叫びました。トランプはひどく怒り、「人類が耳から火を出すことができるなら、これがそうだ」とバーは考えたと、ウッドワードとコスタは書きます。
この本はトランプが、下院少数党院内総務、ケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)を含め、騒乱に抗議した共和党員に未だに怒っていることも明らかにします。
本によれば「こいつは、私のベストフレンドになると偽って、私に毎日電話をかけてくる。それから、私を騙す。彼は悪者だ」とトランプはいいました。
マッカーシーは騒乱の後、最初のコメントを撤回していますが、トランプは彼の好意を取り戻そうとするマッカーシーの試みを撥ね付けるために引き合いに出します.
著者らによれば「ケビンは私の尻にキスをするために来て、下院を取り戻すために私の助けを望む」とトランプはいいました。
本はトランプの盟友が2024年の彼の計画について推測して終わります。共和党のリンゼイ・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)は個人的に、「立候補しようと彼が望むなら、彼は彼の個人的な問題に対処する必要がある…我々にはひどくダメージを受けたチームのキャプテンがいる」といったと引用されます。
しかし、トランプとの直接の会話の中では、グラハムはずっと楽観的でした。
本によれば「1月6日のお陰で、君は死んだみたいに書かれている。世間の見方では、君の指導力の下での共和党は崩壊した」と、グラハムはトランプにいいました。
グラハムは続け、トランプに、ホワイトハウスを取り戻すなら、それはアメリカの歴史の中で最大の帰還になるだろうといいました。
降格させられ、それから2020年9月に選挙から脇へどいたトランプの元選挙参謀、ブラッド・パースケール(Brad Parscale)は7月に質問に答えました。
「立候補するのですか?」。
本によると「それについて考えている…私は本当に立候補について真剣に考えているところだ」とトランプはいいました。「彼は軍隊を持っていた。トランプのための軍隊を。彼は復帰を望む」とパースケールは後に他の者たちにいいました。「私は彼がそれを復帰とみているとは思わない。彼はそれを復讐とみている」。
ーーーーーーーーーー
想像を超えた事態が、トランプ政権の末期に起きていました。ミレー議長がトランプを扱えずにいて、苦労していることは、当時から察していました。しかし、「危機」が明らかにしたのは、それ以上にひどい、恐るべき内容です。アメリカの安全保障が大統領によって脅かされるという、これ以上考えられない危機的状況があったのです。これが陸続きの隣国をもつ小さな国なら、ずる賢い隣国により占領されるか、実質的な支配下に置かれるでしょうが、アメリカという巨大な国だから、ロシアや中国のような敵国があっても、あまり大きな影響を受けずに済んだのです。
また、中国の将軍がアメリカの内乱を心配していたというのは興味深いことです。中国政府の表立っての声明と、本音にはズレがあるのかもしれませんね。内心は、アメリカに混乱してもらっては困る。間違っても、核ミサイルなんか発射してくれるなというところでしょう。ロシアがどう見ていたのかも気になります。
ペロシ下院議長がミレー大将に電話したことは、すでに報じられていましたが、その中身が分かったのは初めてです。ペロシ議長の押しで、ミレーが腹を括った訳で、実に適切な対処でした。
それから、ダン・クエールの名前は久しぶりに聞きました。次期大統領候補でしたが、小学生との会話で、「poteto」の複数形のスペルを間違えて教えるところをテレビで放送されてしまい、大統領になれなかった人ですね。共和党って、どうして知性に問題がある人が多いのか。ペンスの相談相手が、こういう人だったとは。
トランプがもう一度大統領になろうとする件では、彼がそれを復讐だと考えているというのは不気味です。トランプに関するドキュメンタリー番組の終わりに、オバマがパーティでトランプをネタにしたジョークをいい、それをテーブルに着いているトランプが聞いて、さっさと変える姿が出てきます。ナレーションは、このときにトランプが立候補を決意したのだろうと結びます。オバマへの復讐が立候補の動機なら、2024年の立候補は同じことがまた繰り返されることを意味します。そんなの御免です。
ウッドワードとコスタは、襲撃にひどく動揺したミレーは、トランプがいま、興奮し、当局者にわめき、際限のない選挙の陰謀論について彼自身の代わりの現実を作り上げ、選挙の結果の中でトランプは深刻な精神的退化に陥ったと確信したと書きました。
ミレーはトランプが手前勝手に行動するかもしれないと心配した、と著者らは書きました。本によれば、ミレーは上級参謀に「君は大統領の発痛点を知らん」といいました。それに応じて、ミレーは普通ではない行動をとり、1月8日に、核兵器の発射を含めた軍事行動のプロセスを吟味するために、国防総省の彼のオフィスで秘密の会議を招集しました。国防総省の作戦室、国家軍事指揮センター(the National Military Command Center)責任を担う軍高官に向けて話し、ミレーは彼が関与していない何者からの命令を受けると、彼らに指示しました。
本によれば、「何を言われるかに関係なく、君たちは手順を行え。手順を行うんだ。さらに、私は手順の一部だ」とミレーは将校たちにいいました。彼はそれから、部屋を巡り、それぞれの将校と目を合わせ、言葉で彼らが理解したことを確認したかを尋ねました。
本によれば、「分かったか?」とミレーは尋ねました。
「イエス・サー」。
ミレーはそれを誓いだと考えたと、著者らは書きました。
「危機」は直接の関係者と目撃者への200以上のインタビューに基づき、トランプの公務の最後の日々を冷ややかに描きます。トランプ政権についてのウッドワードの三冊目の本書は、必死で権力にしがみつこうとして、最高指揮官が顧問と側近に錯乱し、激高し、怒鳴った場面の裏側を詳しく述べます。
本には1月6日に至る出来事と暴動へのトランプの反応を報じる特ダネ、副大統領、1月5日の大統領執務室でのマイク・ペンス(Mike Pence)との対決について新たに明らかになった詳細を含みます。
ウッドワードとコスタは書類、カレンダー、日記、電子メール、会議のメモ、反訳とその他の記録を手に入れました。
本書は再び大統領を目指して立候補したジョー・バイデン(Joe Biden)の決断、在任最初の半年、なぜ彼がアフガニスタン撤退をあんなに推進したか、さらに彼がトランプを本当はどう感じているかも調査します。CNNは9月21日の発売に先立ち、「危機」のコピーを手に入れました。
彼がおかしいのは知ってるでしょ
ミレーの恐れは、トランプの気まぐれな振る舞いについての彼自身の観察に基づきます。彼の懸念は1月6日の出来事と、米国家安全保障にもたらす極度のリスク、状況によって拡大したと著者らは書きました。ミレーはすでに米国内の混乱を強く警戒する中国の最上級将軍との裏ルートの電話を2度受けていました。本によれば、それから、ミレーは下院議長、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)から単刀直入な電話を受けました。ウッドワードとコスタは、ミレーがペロシに核兵器は安全だと安心させた会話の反訳を独占入手しました。
ペロシは押し返しました。
「私があなたに言っているのは、彼らが議事堂を襲撃することで彼を止められもしないなら、他に何か彼がするかもしれないことを誰が知っているのか。ホワイトハウスで、彼の太った尻にキスすること以外で何かをしている責任者がいるのかということです」
ペロシは続けました。「彼がおかしいのは知ってるでしょ。彼はずっと、おかしいのよ」。
ウッドワードとコスタによれば、ミレーは「議長、なにもかも同意します」と答えました。
電話の後、ミレーは行動しなければならないと決断しました。彼は各軍の指揮官に常時、あらゆることを監視しろといいました。国家安全保障局長、ポール・ナカソネ(Paul Nakasone)に電話をかけ、彼に「つつけ…監視、スキャンを続けろ」といいました。。さらに、彼は当時のCIA長官、ジーナ・ハスペル(Gina Haspel)に「積極的にあらゆるもの、360度監視しろ」といいました。
著者らは「ミレーはアメリカ国民やその他の世界が知らないところで、アメリカの国家安全保障の状態を監視していた」と書きました。
ウッドワードとコスタは、一部の者はミレーが彼の権限を踏み越え、彼自身のために特別な権威を手にしたと主張するかもしれないが、彼の行動は国際秩序の歴史的な断絶をなくし、中国その他との偶発的な戦争を避け、核兵器の不使用を確実にするための誠実な予防策だったと彼は信じたとも書きました。
狂気に走るトランプ
トランプが経験から予測できない何かをするかも知れないという恐れは経験に由来しました。トランプが選挙に負けた直後、ミレーは大統領が、彼がホワイトハウスを去る前の2021年1月15日までにアフガニスタンから全軍を撤退させる命令に署名したのを発見しました。この覚え書きは2人のトランプ支持者により密かに起草されていました。国家安全保障チームにそれを知る者はいませんでした。覚え書きは最終的に破棄されましたが、ミレーはトランプが彼の軍事顧問を避けて通ったのを忘れられませんでした。
ウッドワードとコスタは、1月6日の後、ミレーは軍隊はトランプを制御したり信頼することで絶対的な確信を感じられず、考えもよらないことを考え、ありとあらゆる必要な予防策をとることが軍上級将校としての仕事だと信じたと書きます。
ミレーはそれを理論的可能性の絶対的に重苦しい瞬間とよんだと著者らは書きました。「危機」は、トランプの在任期間の騒々しい最後の日々を記録した、今年出版されたいくつかの本の一冊です。「I Alone Can Fix It」の中で、ワシントンポスト紙の記者、フィル・ロッカー(Phil Rucker)とキャロル・レオニング(Carol Leonnig)は、彼と彼の側近や彼の同盟者がクーデターを試みる恐れの中、ミレーがトランプからの違法な命令に抵抗するために、統合参謀本部と計画をどう議論したかを詳述しました。
本末転倒
ウッドワードとコスタは、国家安全保障当局者が、トランプが圧倒的な選挙の敗北から気を逸らすために国内や海外で紛争を引き起こし、本末転倒なことをするかも知れないと心配したと書きます。
トランプが2020年11月に敗北を認めるのを拒否した時、ハスペルはミレーに警告しました。「我々は右翼のクーデターへの途上にあります。すべてのことが狂気です。彼はかんしゃく持ちの6歳児みたいに振る舞っています」。ハスペルはトランプがイランを攻撃しようとしていることを心配もしていました。
本によると「これはとても危険な状況です。我々は彼のエゴのために攻撃しようとしているのでしょうか?」と彼女はミレーに尋ねました。
トランプの最も忠実な顧問の何人かですら、選挙の後に個人的に懸念を表明しました。当時の国務長官、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)はミレーに、トランプがいま非常に暗い場所にいるといいました。
ミレーには1月20日に平和的な権力移行を確実にするというただ一つの目標がありました。彼がポンペオに「我々には4基のエンジンがある飛行機があり、その3基は故障しています。着陸装置もありません。でも、我々はこの飛行機を着陸させようとしていて、安全に着陸させようとしています」といいました。
我々はバイデンを1月6日に埋葬しようとしている
「危機」は、選挙の承認をトランプが拒絶した供述の裏側と彼の周辺の人々がどう彼の自暴自棄を抑えようとして、失敗したかを提供します。
11月4日、選挙の翌日、トランプは個人的に敗北を認める準備があったらしく、顧問のケリーアン・コンウェイ(Kellyanne Conway)に「我々はどうやってジョー・バイデンに負けたのかな?」と尋ねました。しかし、ルデイ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)を含む支持者に電話した後、トランプは誤っていて、有害な不正選挙の陰謀論を受け入れました。
ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)とイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)は軽く接触しました。クシュナーは側近に、彼は仲裁のためにキーパーソンになりたくないといった、と著者らは書きました。当時の司法長官、ウィリアム・バー(William Barr)は、不正はでっち上げだといって、トランプに言い聞かせようとしました。本によれば「投票機に関する話の問題は、ただのクズだってことです」とバーはいいました。
「あなたのチームはピエロばかりだ」と彼はトランプにいいました。
本によれば、大統領として初期の日々のキーパーソン、元ホワイトハウスの顧問、スティーブン・バノン(Steve Bannon)が再浮上しました。著者らは、2020年4月に起訴され、後にトランプにより恩赦を受けたバノンが1月6日につながる出来事において致命的な役割を演じたと書きます。
11月30日、バノンは議会が選挙結果を認証する日、1月6日のイベントの準備をするため、マー・ア・ラゴ(Mar-a-Lago)からホワイトハウスに戻るようトランプを説得しました。
本によれば、「今日、ワシントンに戻って、劇的な帰還をしなければならない」とバノンはトランプにいいました。「ペンスをスキー場から呼び出して、今日、彼をここに戻さなければならない。危機が起きている」。
著者らは、バノンはトランプに1月6日は「報いの瞬間」だといったと書きます。
「人びとは行動を起こそうとしています。一体、ここで何が起きているんだ?と」とバノンは信じました。「我々は1月6日にバイデンを葬るんだ。彼を葬るんだ」とバノンはいいました。
「これ以上、友人でいたくない」
「危機」は、トランプがペンスに選挙結果をひっくり返すよう圧力をかけた時の、1月5日の執務室での緊迫した衝突も説明します。対決が内部に行った中で、2人の男は「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」の支援者がペンシルバニア・アベニュー近くの戸外で声援を送り、繰り返し叫ぶのを聞きました。
「この人たちが君が力を持っているというのに、君は望まないのか?」とトランプは問いました。
「私は誰であっても、その権限を持つことを望みません」とペンスはいいました。
ウッドワードとコスタによれば、「しかし、力を持っていれば、格好いいとは思わないか?」とトランプはいいました。
「いいえ」とペンスはいいました。彼は「私はこれを解決するために、できることは全部やってきました。単純に不可能なんです」と続けました。
ペンスが態度を変えないので、トランプは彼に敵意を向けました。
著者らによれば、「違う、違う、違う!」とトランプは叫びました。「君は理解していない、マイク。君にはできるんだ。私は君がこれをしないのなら、これ以上、君の友人でいたくない」。
トランプは1月6日の朝、再びペンスを呼びました。著者らによれば、「君がそれをしないなら、私は4年前に間違った男を選んだことになる」と、トランプはいいました。「君らは勇気をなくしている」と彼はいいました。彼の怒りは執務室の他の者たちにみえました。
ペンスは最後にはトランプに立ち向かったとはいえ、「危機」は4年間の忌まわしい忠誠の後で、彼はこの決断に苦悶したことを明らかにします。ウッドワードとコスタは助言を求めて、ジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)の副大統領だったダン・クエール(Dan Quayle)に接触したと書きます。
繰り返して、ペンスは彼にできることが何かないか尋ねました。
「マイク、君はこれに関して順応性を持たない。ないんだ。ゼロだ。忘れろ。捨て去れ」とクエールは彼にいいました。
ペンスはもう一度押しました。
著者らによれば「あなたは私の立場を知りません」と彼はいいました。
「君の立場なら知っているさ」とクエールは答えました。「私は法律が何かも知っている。君は議員の話を聞く。それが君がするすべてだ。君には権力はない」。
本当にツイートすべきです
著者らによれば、トランプはスタッフと娘のイヴァンカ・トランプから繰り返された、1月6日の議事堂の暴徒を止めさせる要請を無視しました。
一つのエピソードで、ペンスの国家安全保障顧問を務めたキース・ケロッグ退役中将(Gen. Keith Kellogg)は、トランプがテレビで騒乱が展開するのを見ている間、ホワイトハウスで彼と共にいました。
ケロッグはトランプに行動するよう求めました。
著者らによれば「本当にツイートすべきです」とケロッグはいいました。「本当に早くツイートして、あそこの群衆を制御するのを助ける必要があります。制御ができていません。彼らはこれを制御できないでしょう。閣下、彼らはこのための準備がありません。一旦、群衆がこのようになれば、あなたはそれを失ってしまいます」。「ああ」とトランプは答えました。著者らは「トランプはまばたきをすると、テレビを見続けた」と書きます。
イヴァンカ・トランプも繰り返して仲裁しようとして、3回、父親と話しました。本によれば「このことを放置するの?」と彼女は彼にいいました。「放置するの?」。
RAGE 2.0
ウッドワードのトランプに関する前の本は「怒り(Rage)」と呼ばれましたが、罵りがちりばめられた口論に満ちた「危機」は怒りが一段階あがっています。
高官たちは著者らに、トランプの憤激は彼らに時々「フルメタル・ジャケット」を、ある時は「博士の異常な愛情」を思い起こさせたといいました。
2020年6月、ホワイトハウス近くでブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)の抗議が行われたあと、当時の国防長官、マーク・エスパー(Mark Esper)を激しく攻撃しました。彼は記者会見で、抗議に対応するために反乱法を発動するのに反対すると発表したところでした。
「お前は私の権限を奪った!」とトランプは執務室でエスパーに叫びました。「お前は大統領ではない!。私が大統領なのだ」。
しかし、本によれば、トランプは収まらず、室内の彼のチームの他の者に目を向けました」。「お前たちは全員カスだ」と彼は叫びました。「みんな、お前たちみんなはカスだ。全員がカスだ!」。
選挙の結果、トランプの怒りは、次期バイデン政権に言及したバーに向けられました。
著者らによれば、「バイデン政権の第一弾!」とトランプは叫びました。トランプはひどく怒り、「人類が耳から火を出すことができるなら、これがそうだ」とバーは考えたと、ウッドワードとコスタは書きます。
この本はトランプが、下院少数党院内総務、ケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)を含め、騒乱に抗議した共和党員に未だに怒っていることも明らかにします。
本によれば「こいつは、私のベストフレンドになると偽って、私に毎日電話をかけてくる。それから、私を騙す。彼は悪者だ」とトランプはいいました。
マッカーシーは騒乱の後、最初のコメントを撤回していますが、トランプは彼の好意を取り戻そうとするマッカーシーの試みを撥ね付けるために引き合いに出します.
著者らによれば「ケビンは私の尻にキスをするために来て、下院を取り戻すために私の助けを望む」とトランプはいいました。
本はトランプの盟友が2024年の彼の計画について推測して終わります。共和党のリンゼイ・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)は個人的に、「立候補しようと彼が望むなら、彼は彼の個人的な問題に対処する必要がある…我々にはひどくダメージを受けたチームのキャプテンがいる」といったと引用されます。
しかし、トランプとの直接の会話の中では、グラハムはずっと楽観的でした。
本によれば「1月6日のお陰で、君は死んだみたいに書かれている。世間の見方では、君の指導力の下での共和党は崩壊した」と、グラハムはトランプにいいました。
グラハムは続け、トランプに、ホワイトハウスを取り戻すなら、それはアメリカの歴史の中で最大の帰還になるだろうといいました。
降格させられ、それから2020年9月に選挙から脇へどいたトランプの元選挙参謀、ブラッド・パースケール(Brad Parscale)は7月に質問に答えました。
「立候補するのですか?」。
本によると「それについて考えている…私は本当に立候補について真剣に考えているところだ」とトランプはいいました。「彼は軍隊を持っていた。トランプのための軍隊を。彼は復帰を望む」とパースケールは後に他の者たちにいいました。「私は彼がそれを復帰とみているとは思わない。彼はそれを復讐とみている」。
ーーーーーーーーーー
想像を超えた事態が、トランプ政権の末期に起きていました。ミレー議長がトランプを扱えずにいて、苦労していることは、当時から察していました。しかし、「危機」が明らかにしたのは、それ以上にひどい、恐るべき内容です。アメリカの安全保障が大統領によって脅かされるという、これ以上考えられない危機的状況があったのです。これが陸続きの隣国をもつ小さな国なら、ずる賢い隣国により占領されるか、実質的な支配下に置かれるでしょうが、アメリカという巨大な国だから、ロシアや中国のような敵国があっても、あまり大きな影響を受けずに済んだのです。
また、中国の将軍がアメリカの内乱を心配していたというのは興味深いことです。中国政府の表立っての声明と、本音にはズレがあるのかもしれませんね。内心は、アメリカに混乱してもらっては困る。間違っても、核ミサイルなんか発射してくれるなというところでしょう。ロシアがどう見ていたのかも気になります。
ペロシ下院議長がミレー大将に電話したことは、すでに報じられていましたが、その中身が分かったのは初めてです。ペロシ議長の押しで、ミレーが腹を括った訳で、実に適切な対処でした。
それから、ダン・クエールの名前は久しぶりに聞きました。次期大統領候補でしたが、小学生との会話で、「poteto」の複数形のスペルを間違えて教えるところをテレビで放送されてしまい、大統領になれなかった人ですね。共和党って、どうして知性に問題がある人が多いのか。ペンスの相談相手が、こういう人だったとは。
トランプがもう一度大統領になろうとする件では、彼がそれを復讐だと考えているというのは不気味です。トランプに関するドキュメンタリー番組の終わりに、オバマがパーティでトランプをネタにしたジョークをいい、それをテーブルに着いているトランプが聞いて、さっさと変える姿が出てきます。ナレーションは、このときにトランプが立候補を決意したのだろうと結びます。オバマへの復讐が立候補の動機なら、2024年の立候補は同じことがまた繰り返されることを意味します。そんなの御免です。
posted by スパイク通信員 at 21:09| Comment(0)
| 日記
2021年08月11日
朝鮮戦争の遺体回収活動に学べ
military.comによれば、毎月の初めに、クワク・グムジャ(Kwak Geum-ja)は、彼女が赤ん坊のときに戦死した韓国兵の父に祈りを捧げるために近所にある朝鮮戦争の慰霊碑に詣でます。
彼の遺体はまだ回収されておらず、年老いたクワクはそれらが見つけられて、国立墓地に埋葬されるよう熱望します。
「私は今、70歳を越えています。死ぬ前に父の遺体を取り戻せるなら、思い残すことはありません」と、首都ソウルのすぐ南にある安養市(Anyang)でのインタビューの間に、涙目のクワクはいいました。「私はそれらを見て、確かめたいだけです。他には望みません」。
クワクは1950〜53年の朝鮮戦争中に非業の死を遂げた愛する家族の遺体が発見されることを望む数十万人の韓国人の中にいます。
道は依然として遠くにあります。
回収の努力は、類似したアメリカの任務を真似た回収の努力が本格的にはじまってから、当局は死亡した韓国軍の兵士と考えられる数千体の遺体を発掘しましたが、それらの166人しか身元が分かっていません。発見されていない韓国兵の数は約120,000人にのぼります。
韓国はこれまでに、掘り出した骨から抽出したDNAと照合するために、殺された兵士約47,000人の血族のDNAサンプルしか集めていません。
韓国とアメリカ主導の国連軍と北朝鮮と中国とが闘った紛争は、韓国兵160,000人を含む、120〜200万人を殺しました。
ほとんどの遺族が高齢だったり、すでに死去しているため、彼らの遺体を見つけることは切迫した心情的な仕事です。
回収作業は、韓国が北朝鮮の奇襲を鈍らせるために急いだため、多くの韓国兵が開戦段階で軍隊の身分証明書なしに派遣されたという事実のために困難です。当局はほとんどの兵士の歯科治療、胸部レントゲン写真とその他の形式の身分証明の記録を保管しませんでした。紛争が終わると、急速な戦後復興と国土再開発計画が引き続き、かつての戦場と埋葬場所の位置を特定するのを困難にしました。
「彼らがまだ生きている時に、愛する家族の遺体を取り戻すことは、遺族にはより意味があります。それは未だ最も難しい我々の任務の基本です」と、国防部が運営する機関で、戦死した兵士の回収と身元特定に責任を負う中央身元特定研究所(the central identification laboratory)の所長、イム・ナヒョク(Im Na Hyok)はいいました。
AP通信の記者が最近、ソウルの国立墓地にある研究所を訪問した間、彼女は2つの朝鮮国家の間の事実上の国境を形成する、重武装された細長い地帯である非武装地帯内の元戦場から、近年に当局が掘り出している遺体の一部について話しました。それは終戦から初めてのDMZでの前述の発掘計画でした。
研究所のテーブルに置かれた、黄ばんだ、ほぼ完全な骨格を解説して、イム所長は遺体は韓国人ではなくヨーロッパ出身の米兵らしいといいました。彼女は高い鼻骨とアマルガムの詰め物(戦時中には両朝鮮国家と中国の両方で存在しなかった歯科治療)がある歯を指摘しました。骨から収集された防弾ベスト、靴とその他の装具は国連が支給した道具にすべて見つけられたと、彼女はいいました。
もう一つの、より不完全な骨格は韓国兵のようです。イム所長は、親知らず、歯牙摩耗とその他の骨の状態についての彼女のチームの検証を引き合いに出して、25歳くらいで死亡したといいました。
イム所長は、ソウルが約30,000人の韓国人の戦死者が見つかっていないと考える北朝鮮の中に任務を拡張することを望むといいました。
北朝鮮はその領域内で韓国が発掘することを一度も認めていません。北朝鮮は韓国が発見した同国の遺体を受け取ることも拒否しています。
しかし、ワシントンとの関係を優先する証として、北朝鮮は1996〜2005年にアメリカと33回の合同回収作業を行い、米兵の遺体229体をその領域で収集しました。2018年、二カ国が現在は止まった北朝鮮の核開発計画についての交渉に関わる中、北朝鮮は友好の姿勢として、この戦争で行方不明になった米兵と推定される55個の箱を返還しました。
朝鮮半島は戦争状態のままです。1953年に紛争を終えた休戦協定はいまだに平和条約に置き換えられていません。7,500人以上のアメリカ人が朝鮮戦争で行方不明になったままです。
クワクの父親、クワク・ジョンギュ上等兵(Pfc. Kwak Jeong-kyu)は、1951年1月1日に、韓国の国境の町、鉄原(Cheolwon)で、26歳で亡くなりました。彼女は10年以上前に血液サンプルを提出したといいました。毎年、彼女は政府から、父親の遺体がまだ発見されていないという手紙を受け取ります。
彼女は彼が軍隊に徴用された時、僅か1歳だったために、父親の記憶はありません。子供の頃、クワクは彼女は家族が参加する村の宴会に参加したり、友人の父親が学校に現れるのが嫌いだったといいました。
彼女の母親が心臓疾患で死ぬ直前、戦争未亡人はせん妄に陥り、夫が帰ってきたかと尋ねました。
「母が死んだとき、それが母が発した唯一の言葉でした……私は母が彼に深い想いを持っていたから、これを言ったと思います」。
亡くなった韓国海兵隊員の68歳の息子、チェ・チュンシク(Choi Choong-sik)は、彼が戦争が終わる週に殺された直後に死をしらされたのに、彼の家族が国立墓地に彼の名前がある墓があるのをはじめて知ったのは1980年頃だったといいました。
チェは定期的に墓参りをします。しかし、父親の遺体が今なお他にある場合に備えて、彼はDNAサンプルを提出しました。彼は戦後の混乱の間に誰かの遺灰が墓に埋葬された可能性があると感じます。
「私は時々、墓の遺体が本当に私の父親か疑問をもちます」とチェはいいました。「私がまだ生きている時に父親の本当の遺体が回収できたら素晴らしいとは思いませんか?」。
ーーーーーーーーーー
朝鮮戦争は稀に見る激戦でした。北朝鮮軍が急速に前進し、国連軍にも韓国軍にもそれを止める術がありませんでした。アメリカはここで戦争が起きるとは考えておらず、軽装備の部隊しか置いていなかったからです。その結果、大勢の兵士が戦死し、さらに戦闘地域内に取り残された民間人たちはそれ以上に多くが犠牲となりました。戦いで死んだのではなく、北朝鮮の手先と誤認された人たちも殺されました。その結果、朝鮮戦争は近代戦では民間人の犠牲者の数が極めて多いのです。
私がこのことを認識したのは韓国映画「ブラザーフッド」の映画評を書くため、朝鮮戦争の歴史を再確認した時でした。あまりにも民間人の犠牲が多いことに気がつき、号泣した記憶があります。「ブラザーフッド」は遺体の回収作業で、ある遺体が発見されるところから始まる物語で、この記事とも関連性がある劇映画です。
日本には韓国の中央身元特定研究所のような機関はありません。遺骨を大切にする国のくせに、戦死者の遺骨を特定する作業は滅多に行われません。米軍も身元特定のための専門機関をもっています。日本のこの無頓着さは一体何なのかと思うことがあります。あまりにも無神経であるように思うのです。
死者のことはどうでもよいのなら、生きている人たちのこともどうでもよいのでしょう。
余談ですが、朝鮮戦争が起きた結果、日本における太平洋戦争の反省は、目の前にまで来た脅威のために後退したと思っています。朝鮮戦争が起きなければ、日本はしばらくの間は目立った脅威がなく、その間に大戦の検証が進んだかも知れません。それはとても貴重な時期だったはずです。現在、中途半端な反省の下で、また脅威に対する防衛論が叫ばれていますが、それはまた戦前の様相に似ているようにも思えます。軍人が脅威への対処のつもりで誤った手段に走り、日本を戦争に進ませたようなことが、また繰り返される恐れは消えていません。
彼の遺体はまだ回収されておらず、年老いたクワクはそれらが見つけられて、国立墓地に埋葬されるよう熱望します。
「私は今、70歳を越えています。死ぬ前に父の遺体を取り戻せるなら、思い残すことはありません」と、首都ソウルのすぐ南にある安養市(Anyang)でのインタビューの間に、涙目のクワクはいいました。「私はそれらを見て、確かめたいだけです。他には望みません」。
クワクは1950〜53年の朝鮮戦争中に非業の死を遂げた愛する家族の遺体が発見されることを望む数十万人の韓国人の中にいます。
道は依然として遠くにあります。
回収の努力は、類似したアメリカの任務を真似た回収の努力が本格的にはじまってから、当局は死亡した韓国軍の兵士と考えられる数千体の遺体を発掘しましたが、それらの166人しか身元が分かっていません。発見されていない韓国兵の数は約120,000人にのぼります。
韓国はこれまでに、掘り出した骨から抽出したDNAと照合するために、殺された兵士約47,000人の血族のDNAサンプルしか集めていません。
韓国とアメリカ主導の国連軍と北朝鮮と中国とが闘った紛争は、韓国兵160,000人を含む、120〜200万人を殺しました。
ほとんどの遺族が高齢だったり、すでに死去しているため、彼らの遺体を見つけることは切迫した心情的な仕事です。
回収作業は、韓国が北朝鮮の奇襲を鈍らせるために急いだため、多くの韓国兵が開戦段階で軍隊の身分証明書なしに派遣されたという事実のために困難です。当局はほとんどの兵士の歯科治療、胸部レントゲン写真とその他の形式の身分証明の記録を保管しませんでした。紛争が終わると、急速な戦後復興と国土再開発計画が引き続き、かつての戦場と埋葬場所の位置を特定するのを困難にしました。
「彼らがまだ生きている時に、愛する家族の遺体を取り戻すことは、遺族にはより意味があります。それは未だ最も難しい我々の任務の基本です」と、国防部が運営する機関で、戦死した兵士の回収と身元特定に責任を負う中央身元特定研究所(the central identification laboratory)の所長、イム・ナヒョク(Im Na Hyok)はいいました。
AP通信の記者が最近、ソウルの国立墓地にある研究所を訪問した間、彼女は2つの朝鮮国家の間の事実上の国境を形成する、重武装された細長い地帯である非武装地帯内の元戦場から、近年に当局が掘り出している遺体の一部について話しました。それは終戦から初めてのDMZでの前述の発掘計画でした。
研究所のテーブルに置かれた、黄ばんだ、ほぼ完全な骨格を解説して、イム所長は遺体は韓国人ではなくヨーロッパ出身の米兵らしいといいました。彼女は高い鼻骨とアマルガムの詰め物(戦時中には両朝鮮国家と中国の両方で存在しなかった歯科治療)がある歯を指摘しました。骨から収集された防弾ベスト、靴とその他の装具は国連が支給した道具にすべて見つけられたと、彼女はいいました。
もう一つの、より不完全な骨格は韓国兵のようです。イム所長は、親知らず、歯牙摩耗とその他の骨の状態についての彼女のチームの検証を引き合いに出して、25歳くらいで死亡したといいました。
イム所長は、ソウルが約30,000人の韓国人の戦死者が見つかっていないと考える北朝鮮の中に任務を拡張することを望むといいました。
北朝鮮はその領域内で韓国が発掘することを一度も認めていません。北朝鮮は韓国が発見した同国の遺体を受け取ることも拒否しています。
しかし、ワシントンとの関係を優先する証として、北朝鮮は1996〜2005年にアメリカと33回の合同回収作業を行い、米兵の遺体229体をその領域で収集しました。2018年、二カ国が現在は止まった北朝鮮の核開発計画についての交渉に関わる中、北朝鮮は友好の姿勢として、この戦争で行方不明になった米兵と推定される55個の箱を返還しました。
朝鮮半島は戦争状態のままです。1953年に紛争を終えた休戦協定はいまだに平和条約に置き換えられていません。7,500人以上のアメリカ人が朝鮮戦争で行方不明になったままです。
クワクの父親、クワク・ジョンギュ上等兵(Pfc. Kwak Jeong-kyu)は、1951年1月1日に、韓国の国境の町、鉄原(Cheolwon)で、26歳で亡くなりました。彼女は10年以上前に血液サンプルを提出したといいました。毎年、彼女は政府から、父親の遺体がまだ発見されていないという手紙を受け取ります。
彼女は彼が軍隊に徴用された時、僅か1歳だったために、父親の記憶はありません。子供の頃、クワクは彼女は家族が参加する村の宴会に参加したり、友人の父親が学校に現れるのが嫌いだったといいました。
彼女の母親が心臓疾患で死ぬ直前、戦争未亡人はせん妄に陥り、夫が帰ってきたかと尋ねました。
「母が死んだとき、それが母が発した唯一の言葉でした……私は母が彼に深い想いを持っていたから、これを言ったと思います」。
亡くなった韓国海兵隊員の68歳の息子、チェ・チュンシク(Choi Choong-sik)は、彼が戦争が終わる週に殺された直後に死をしらされたのに、彼の家族が国立墓地に彼の名前がある墓があるのをはじめて知ったのは1980年頃だったといいました。
チェは定期的に墓参りをします。しかし、父親の遺体が今なお他にある場合に備えて、彼はDNAサンプルを提出しました。彼は戦後の混乱の間に誰かの遺灰が墓に埋葬された可能性があると感じます。
「私は時々、墓の遺体が本当に私の父親か疑問をもちます」とチェはいいました。「私がまだ生きている時に父親の本当の遺体が回収できたら素晴らしいとは思いませんか?」。
ーーーーーーーーーー
朝鮮戦争は稀に見る激戦でした。北朝鮮軍が急速に前進し、国連軍にも韓国軍にもそれを止める術がありませんでした。アメリカはここで戦争が起きるとは考えておらず、軽装備の部隊しか置いていなかったからです。その結果、大勢の兵士が戦死し、さらに戦闘地域内に取り残された民間人たちはそれ以上に多くが犠牲となりました。戦いで死んだのではなく、北朝鮮の手先と誤認された人たちも殺されました。その結果、朝鮮戦争は近代戦では民間人の犠牲者の数が極めて多いのです。
私がこのことを認識したのは韓国映画「ブラザーフッド」の映画評を書くため、朝鮮戦争の歴史を再確認した時でした。あまりにも民間人の犠牲が多いことに気がつき、号泣した記憶があります。「ブラザーフッド」は遺体の回収作業で、ある遺体が発見されるところから始まる物語で、この記事とも関連性がある劇映画です。
日本には韓国の中央身元特定研究所のような機関はありません。遺骨を大切にする国のくせに、戦死者の遺骨を特定する作業は滅多に行われません。米軍も身元特定のための専門機関をもっています。日本のこの無頓着さは一体何なのかと思うことがあります。あまりにも無神経であるように思うのです。
死者のことはどうでもよいのなら、生きている人たちのこともどうでもよいのでしょう。
余談ですが、朝鮮戦争が起きた結果、日本における太平洋戦争の反省は、目の前にまで来た脅威のために後退したと思っています。朝鮮戦争が起きなければ、日本はしばらくの間は目立った脅威がなく、その間に大戦の検証が進んだかも知れません。それはとても貴重な時期だったはずです。現在、中途半端な反省の下で、また脅威に対する防衛論が叫ばれていますが、それはまた戦前の様相に似ているようにも思えます。軍人が脅威への対処のつもりで誤った手段に走り、日本を戦争に進ませたようなことが、また繰り返される恐れは消えていません。
posted by スパイク通信員 at 19:45| Comment(0)
| 日記